サッカー素人haroの英国イングランド、プレミアリーグ観戦記

サッカー素人の地方在住のおっさんが、自分がただワールドカップを楽しむために始めたブログです。もっと理解できるようになりたいので、サッカーの詳しい方、そうでない方もコメントよろしくお願いします。

2018 FIFA W杯 Group A エジプト・アラブ共和国 vs ウルグアイ東方共和国 試合後感想

エジプトは、期待されたサラーがスタメンではありませんでした。

GKも、スイーパー・キーパーのできる、エル・シェナウィでした。

チームとしては、堅守速攻の、はっきりとしたチームカラーを打ち出してきましたが、不安要素はたくさんあります。

アフリカ予選では組織力の高さを見せることが出来ましたが、実際はあまりメンバーを固定できていませんし、当然連携を構築する時間もありませんでした。

W杯で通用するかは未知数です。

また、サラーがワールドクラスに確変したのも昨シーズンなので、彼を軸にしたシステムがありません。

良く言えば依存していないとも言えますが、彼の力を活かしきるシステムの構築を急がねばなりません。

現時点では、これまで同様、四人いる優秀なWGの1人に過ぎないです。

また守備にも不安要素があります。

基本的に、最大の武器であるWGの爆発的なスピードを活かすため、カウンターの為の広大なスペースを作ろうとします。

そのためボールの即時奪回に失敗した際、すぐに自陣ゴール前までリトリートするため、敵を誘い込みがちです。

跳ね返せる自信があるなら、収支はプラスに働くのですが、実はこちらも未知数です。

正直いって、連携不足から上手くカウンターが繰り出せない恐れもあります。

そうなれば、ただただサンドバッグになるだけなので、危険です。

組織としての守備の構築も、急がねばなりません。

一方ウルグアイも、ラクサールをスタメンに起用しませんでした。

代わりに出るのはベテランの、カセレスです。

ロシアもそうでしたが、初戦はベテランに頼るんですかね。

とはいえ、ウルグアイは正直このグループで頭一つ抜けていると思います。

戦力的にもFW、DF、GKに頼りになるベテランがいて、集大成に位置付けられています。

中盤に若手が多いので、全体のバランスも良く、期待が出来ます。

変に歯車が狂わなければ、かなりの躍進が期待できるでしょう。

この試合も、カウンター合戦なら、ウルグアイの方が決定力に勝るので、楽勝だと思います。

ところで試合前、ゴディンの表情がとても穏やかでした。

W杯も3回目ともなれば、悟りの境地に達するのでしょうか。

スアレスカバーニはいつも通りだったので、少し怖かったです。

~前半開始~

私自身はわからない技術的な話になってしまうのですが、パサーは、受け手が次のプレーをするための体の向きを想定して、利き足側にパスを出さなければならないそうです。

当たり前のようにこなせる選手でも、極限のプレッシャー下では、視野が狭くなるので、難しくなります。

それを当たり前にこなしていたウルグアイだけが、このグループで一つ抜けたレベルの高さを感じさせました。

しかし、はじまってみると、雲行きが怪しくなってきました。

ウルグアイは中央突破したいのですが、前半5分の時点で、それはエジプトの思うツボだということが分かりました。

一方エジプトは相手に攻めさせて、得意のロングカウンターを発動したいのですが、今度はウルグアイボランチが無理をせず、最終ラインにすぐボールを返してしまうので、まったくボールが奪えません。

膠着状態になってしまいました。

また共にボランチの横のスペースが空いていますが、ウルグアイボランチのボールの奪い方がより乱暴なので、審判がファウルをとることもあり、ややエジプトに流れが来かけていました。

そこでウルグアイは、サイドを起点することにしました。

しかし、エジプトが縦のコンビネーションと走力で、優位に立ちます。

クロスを放るところまではいくのですが、肝心のクロスはウルグアイアトレティコ・コンビに全て跳ね返されました。

再び膠着状態です。

ここまで、前半10分の出来事です。

戦術合戦ですね、W杯の初戦らしくなってきました。

主審のカウパースさんは、W杯は二回目で、ELやCLの決勝を裁いたこともあります。

妥当なファウルにしっかり笛を吹いてくれますし、ポジショニングも適切です。

忙しくて難解なこの試合に相応しい、レベルの高い審判でしょう。

17分過ぎ、ウルグアイが先に、戦術を変えます。

最終ラインでボールをキープすることはできるので、両SBを上げて、とにかくロングボールを放り込むことにしました。

エジプトのWBAコンビは共に190cm超で、効果があるのか分かりませんが、スアレス、カバーに少しでも多くボールを触らせて、何かが起きるのを期待していたようでした。

フィニッシュから逆算されたプレーではないですが、カバー二がサイドに開くことで、解決しようとしていました。

突然繰り出された、前半37分のゴディンのドリブルは、驚きました。

ルシオとかダビド・ルイスみたいなことする人じゃないし、用意してきたプレーじゃないんですね、チームメイトも動き直しができていませんでした。

優勝したい、と言ったそうですが、本当に本気なのでしょう。

強い意志を感じました。

ただ絶対打ち合わせといた方がいいよね笑、とは思います。

ウルグアイは柔軟に戦い方を変える、成熟した大人のチームです。

ただ、エジプトは天敵に近いですね。相性が悪いです。

前大会といい、ウルグアイは初戦が苦しいです。

前半40分過ぎ、エジプトは体力が無くなってきたのか、あまりゲームが動かなくなってきました。

後から、サラーを出せるエジプトの方が有利かな、というところで前半が終わりました。

互いにカウンターを警戒するだけに、ここまでのところ、セットプレイが最も可能性がありそうです。

~後半開始~

後半最初は用意してきたプレーができます。

何をするのかと期待していたら、ウルグアイは中央突破を選択しましたね。

強情というべきか、愚直というべきか、相手に対応するのではなく、自分たちの強みを表現することを優先したようです。

エジプトの両ボランチにあまり展開力が無いので、両WGを捕まえておけば、リスクは無いとみて、やりたいことをやるようになりました。

エジプトは前半同様、サイドの縦のコンビネーションを活用するのも大事ですが、トップ下のサイードの働きが遅攻のクオリティを左右しそうです。

後半14分、またウルグアイが先に動きました。

ベテランのクリスチャン・ロドリゲスの投入です。

中盤の全ポジションをこなせる彼ですが、特にサイドでの運動量には定評があります。

エジプトのサイドの起点を潰しにかかったといえるでしょう。

後半20分すぎ、エジプトの体力の無さが目立ってきました。

この時点で、特定の個人ではなく、チーム全体の体力が尽きてしまうのはおかしいです。

後に判明するかもしれませんが、チームマネジメントに何か問題があったのかもしれません。

加えて、サラーの出場が無くなった時点で、引き分けが精一杯だということが判明してしまいました。

30分過ぎ、エジプトのカウンターが、形になるようになってきました。

一方で、ウルグアイの中央からの攻めも、シュートで終わるようになってきました。

どちらかに得点が入りそうな空気が漂ってきました。

後半43分、カルロス・サンチェスのアシストからヒメネスがヘディングで、ついに得点しました。

ウルグアイの勝利です。

~試合終了~

最後まで共に初戦を、勝つつもりでいました。
W杯は初戦を勝たなければ勝ち上がれないという、統計的な理由から、両チームとも勝利への執念を見せてくれました。

戦術的にも見ごたえのある、死闘でしたね。

勝敗はついてしまいましたが、素晴らしいゲームでした。

これからエジプトにも、巻き返してほしいと思います。

気が早いですが、このグループを通過するのは、この2チームだと思います。

グループリーグを通過したら、決勝TはグループBのチームとの対戦になります。

多分、スペインかポルトガルです。

正直どちらが1位か2位か分かりませんので、こちらの2チームも1位通過がいいのか、2位通過がいいのか分かりません。

ということは、この戦いは無理に勝たなくてよかったのです。最悪負けても、サウジとロシアに2連勝するのは、十分に現実的だと思います。

ウルグアイがベテランを二人入れたのは、それを伝えるためではないでしょうか。

落ち着け!と言っているようにも、聞こえました。

とはいえ、選手たちの勝利の執念は、戦略をうわまりました。

カバー二のスーパープレイに、相手キーパーもスーパープレイで応えた場面では、それを強く実感しました。

ヒメネスも、ゴディンが乗り移っていましたね(笑)