Group H 日本 vs セネガル共和国 展望
セネガルは本当に強いチームで、アフリカの”アフリカらしい”チームの中では最強ではないでしょうか。
アフリカらしい常軌を逸した、高い身体能力を持つ一方、社会的に高い経済力によるものか、他のアフリカ諸国にはない勤勉さと集中力を、表現できるレベルにまで身につけています。
反面、アフリカらしい奔放さは失われてしまったようで、それがセネガルの独自のスタイルになりました。
まずはセネガルの強みとその対抗策を見ていこうと思います。
ざっくりいうと、CBとCH、WGはことごとく身体能力が高いです。
CBはセリエA最強の壁クリバリがおり、予選ではカラがコンビを組んできましたが、本戦ではサネと組むかもしれません。
彼も空中戦は強く、ブンデスリーガ随一で、来シーズンはシャルケでプレーすることが決まっています。
高さ、強さ、最高速度共に優れ、競り合いながらではまず勝てません。
対策としては、スピードの緩急や初速を活かした敏捷性、急な方向転換をドリブルしながら繰り出せる選手の起用を期待したいです。
また、中盤ではプレミア・サイボーグ軍団が待ち構えています。
下に凸の逆三角形か、アンカー1人の4-1-4-1かは分かりませんが、どのみちCHを3人置く布陣が、プランAなのは間違いありません。
中盤は運動量、敏捷性、体の強さともに歯が立たないので、数的優位が必要です。
4人で中盤を形成するか、3バックを使うかでしょう。
3バックであれば、リベロと2ボランチ、トップ下の4人で数的優位が作れそうですが、相手が3トップなのもあって、実質5バックにさせられてしまいます。
相手のディフェンスラインがすごく高くなりそうなので、その裏を突ける快速FWを起用したかったのですが、浅野も永井も落選してしまいましたね。
西野監督は、中盤の技術的優位、位置的優位を最大限活かすようです。
この2点なら確実に勝てる見込みです。
また、忘れてはいけないのが、ファーストディフェンダーでもあるエース、サネとケイタです。
カウンターの切れ味は、エジプトやポルトガル、フランス、ベルギーなどと同等の最高レベルにあるといえると思います。
基本的に、あまり両SBが上がらないので、二人ともウイングで攻撃の幅をとるのが仕事のようですが、たまにハーフスペースに侵入してきます。
5バックにして、5レーンすべてに人を配置するしかなさそうです。
セネガルは全体的に、役割がはっきりしていて、一人一人がそれをサボらずしっかりこなす印象です。
もちろん、弱みもあります。
日本も同じなのですが、チーム全体では、勤勉さは規律とハードワークを生む反面、激しいエゴや反発心が埋没してしまいがちです。
普段ちゃんと働いているからこそ、ここぞというときに動ける余分な体力・気力がないのが、まじめな選手たちの弱点です。
闘うのは現場の選手たちなので、ここぞというところで、チームの約束事や指示は無視して決断することを、推奨する空気づくりが必要なのかもしれませんね。
エジプトのように、エースを重労働から解放して、いかにサボれる環境を提供してあげられるかが、交代カードも含めて、好チームと勝てるチームを分けるのでしょう。
守備をサボれるFWは世界を見回しても、ほとんどいなくなったこの時代に、優勝候補と呼ばれるチームは、サボる人を受け入れられる懐の深さや、一体感、総合力があります。
セネガルや日本も、優勝候補として名を連ねるには、まだまだなのかもしれません。
日本と違う点は、セネガルの中盤の選手たちは身体能力には長けますが、創造性はそこまで持ち合わせていない点です。
サネのこじ開ける力も、単独ではワールドクラスではないんじゃないかと見ています。
というのも、サネの所属するリヴァプールは、ゴール前に多人数で殺到する攻撃システムを繰り返すところに重点を置いているのであって、あまりひとつひとつの正しい判断(よりゴール期待値の高い、確実な状況づくり)にこだわってはいないように見えるからです。
つまりボールを渡して、引きこもってしまえば、失点するリスクはぐっと減ります。
最後に、現時点ではGKの順位がはっきりしていないようです。
GKとDFのコミュニケーション不足が生じるおそれがあり、期待するものではないかもしれせんが、マイアミの奇跡のような得点シーンもあるかもしれません。
しかし総合すれば、このゲームはお互いにハードワークしたさい、決定機が極端に少ないゲームになりそうです。
それでも、ほんの少しプレスが甘いとか、ちょっとしたことで失点してきたのが我らが日本代表。
個人的には、もはやフェアプレー賞などはいらないので、ファウルすれすれの激しいプレイでもなんでもして、勝ち点を略奪してほしいです。
セネガルは必ずハードワークしてくるので、日本もそれに付き合うのが一番勝ちを拾える可能性が高いのではないでしょうか。