2018 FIFA W杯 Group A ロシア連邦 vs エジプト・アラブ共和国 試合後感想
大勝したロシアと、後が無いエジプトの対決です。
ロシアは得失点差の関係から、この試合と三戦目ののウルグアイ戦は引き分けで構いません。
ただ、ウルグアイ戦は負ける可能性も高く、勝ち点4では勝ち上がれないこともあるので、この試合で、できれば勝ちたいです。
しかしロシアはグループリーグ敗退が予想されていたので、本来失うものはないはずです。
勝ち点計算などせず、思いっきりぶつかるのもありだと思います。
一方エジプトは、今大会のダークホースとみなされていました。
みっともない戦いは許されません。
あとは結果だけです。
意外なことに、過去一度も勝ったことも、得点したこともありません。
あと2戦、持ち味のすべてを発揮してほしいです。
~前半開始~
気温15度、湿度83%と、寒いくらいのゲームになりました。
身体を温めるためにも、最初は運動量が高くなりそうです。
ロシアは結果を出した人を、露骨に使ってきました。
のびのびとプレイしている印象です。
選手たちが大会を楽しんでいるようで、見ていて気持ち良いです。
チェリシェフ、ゴロビンはノリノリですね。
前半5分に繰り出された、ゴロビンのハメドからのボール奪取からのシュートは、組織的なものではなく、個人的な閃きによるものでした。
一方エジプトは、ついにサラーの登場です。
彼自身にキレは感じませんが、チームとしての一体感は出てきました。
戦い方もより鮮明になりましたね。
ロシアが意外と、オープンな打ち合いをしてくれているので、エジプトとすれば得意のロングカウンターを繰り出せそうです。
しかし、ウルグアイと違ってロシアは両サイドに二人ずつ配しているので、ビルドアップには工夫が要ります。
加えて懸念があるとすれば、サラーがフィニッシャーではなく、ほぼチャンスメイカーだけになっていることと、チーム全体が前の試合の不振を引きずって、決定機に迷いが生じていることです。
ゴール前にリトリートするのも、危ないです。
エジプトは強力なCBコンビを擁していますが、ジュバの調子がいいので、やられてしまうかもしれません。
ポストプレーもことごとく成功しています。
またロシアのベンチには、195cmのエロヒンがいるので、どちらかをSBに合わせてくるかもしれません。
そうなれば、適当なクロスでも致命傷になりかねません。
ロシアが猛攻を仕掛けたのは最初の内だけで、次第にポゼッションを重視してきました。
お互いにパス成功率の低いトランジッションゲームになっているので、エジプトにもチャンスがあるのですが、やはり決め手を欠いています。
このままでは、引き分けになりそうです。
エジプトは、リスクをとらなければならなくなってきました。
~後半開始~
開始すぐに、エジプトは失点です。
キャプテンのアフメド・ファティのオウンゴールです。
ビッグマンがSBにつくと、高さだけでなく体重でもミスマッチが起きてしまいます。
キャプテンの責任ではなく、マッチアップしているガブルの責任です。
ガブルは、ジュバから目を離してはいけません。
またこの試合も、主審のエンリケ・カセレスは中々カードを出しません。
中盤の空中戦もロシアが制しているので、自然とロシア寄りになっています。
エジプトが同じテンポで様子を見てきたのに対し、ロシアはまた、立ち上がりで猛攻を仕掛けました。
一見したところ、エジプトも、ひとつひとつのプレーは悪くないと思います。
球際に対しては、積極性に違いは感じられるので、もう少し詰めてほしいです。
後半14分、ロシアに追加点です。
ガブルはジュバについていませんし、ヘガジはスペースを埋めていません。
疲れからか、思考停止してしまっているようです。
ただ、チェリシェフの左足のシュートは、GKの股抜きでもあったので、難しいシュートを決めたともいえると思います。
後半17分、ロシアにさらに追加点、三点目です。
ジュバの妙技でしたね。
二つのトラップも、シュートも完璧でした。
マッチアップしたガブルは、高さはありますが小技には弱いです。
これも仕方が無い、といいたいところなんですが、とどめになってしまったので、受け入れられない失点です。
後半23分、素晴らしいパス交換からの、トレゼゲのシュートです。
初めてエジプトの、組織的な崩し、決定的な瞬間が見られました。
後半26分、ゾブニンがサラーを掴んで、PKを与えてしまいました。
GKには読まれてしまいましたが、サラーの右上に強いキックで、エジプトが一点とりました。
後半29分にロシアが獲得したセットプレイも、少し危険でしたね。
ガブルがジュバを倒していたのですが、PKをとる人もいそうです。
取らないのが正解だと思うのですが、おかげで後半32分のプレイでも取れなくなってしまいました。
クテポフが、モフセンを倒したプレイでした。
こちらはロシアのPKエリアだったので、ヒヤッとしましたね。
一点差になっていた可能性もありました。
~試合終了~
終わってみれば、ロシアの3-1の勝利です。
ロシアの躍進は、ちょうど十年ぶりですね。
この夏、ゴロビンだけでなく、ゾブニンも人気銘柄になりそうです。
クテポフ、ジュバも5大リーグからオファーが殺到するかもしれません。
乗り遅れた、ミランチュク兄弟にも出番を与えてほしいです。
一方、エジプトのワールドカップは終わってしまいましたね。
アルゼンチンと同じように、個に頼り切ったチームはうまくいかないようです。
同じチーム力の2チームに、スター選手がいるチームとそうでないチームがあるとして、後者の方が結果を出すだけでなく、実際強いことも多いのが、フットボールの面白いところです。
あらためて、フットボールはチームスポーツなんだと、思い知らされました。
サラーが出遅れたのも痛いですが、チームも未完成でしたね。
最終戦、チーム、スタッフ、サポーター全員の矜持を見せてほしいと思います。