2018 FIFA W杯 Group A ウルグアイ東方共和国 vs サウジアラビア王国 試合後感想
サウジは、初戦は呑まれてしまっていました。
アイデンティティである、コンパクトに守ることと、短いパスワークを繰り返すこと。
結果がどうなるにせよ、本来の良さを思い出して、発揮してほしいです。
このグループで最もクオリティの高いウルグアイに対して通じるかどうかが、今大会でわかる、世界との差になります。
このままでは、最下位になります。
とはいえ隠し玉は無いと思うので、出来ることを全力でやってもらいたいと思います。
一方ウルグアイは、このグループ最大のライバルのエジプト戦を勝利できたので、一安心です。
この試合は、得失点差の関係で引き分けでも構わないのですが、おそらく勝たないと危険です。
最後はロシア戦になります。
開催国の勢いをビュウビュウ吹かせています。
ここで勝たないと、ロシアにかき乱され、2位で通過することにもなりかねません。
仮に勝てたとしても、体力気力をひどく消耗するでしょう。
次を無風で乗り切るためにも、勝ち点6を確定させておきたいのです。
逆に言えば、サウジはここが狙いどころになります。
勝利しなければならないはずのサウジが、上手くウルグアイを焦らせることが出来れば、勝利を拾える可能性も出てきます。
~前半開始~
気温32度、湿度26%、酷暑です。
平均気温の高い3つの会場の中でも最も高い、ロストフ・アレナでの戦いになります。
現地時間18:00と比較的早めのキックオフになり、暑さが心配されていました。
ウルグアイは、カルロス・サンチェスとクリスチャン・ロドリゲスをスタメン起用してきました。
後半ほとんどの選手が走れなくなると思うので、こういったベテランは後から投入したほうが結果に直ぐ繋がる気もしますが、安定感をとったのでしょうか。
一方サウジは、四人も入れ替えてきました。
一番の驚きは、CBに左SBのスペシャリストである、ブライヒを起用してきたことです。
誰が出ても、スアレスとカバー二にはやられると見たのでしょうか。
ブライヒのスピードと展開力が活かされる展開になることを、期待します。
サウジは普段通りの戦い方が、できてきました。
しかしそれで勝てるかは、別問題です。
チーム全体をコンパクトにすることはできたのですが、攻撃の局面において少ない人数で攻め落とせるほど、攻撃陣にタレントがいません。
ある程度人数をかけなければ得点できないのなら、コンパクトになったチーム全体を前に運ばなければなりません。
そうなると、最終ライン裏に広大なスペースができてしまいます。
ブライヒのスピードで帳尻を合わせる算段なのでしょうが、CKを奪われてしまっています。
ウルグアイはカウンターも得意なので、前線から強引に奪うようなことはしません。
攻撃はサイドを起点にしながら、守備では中盤でインターセプトを狙い、一撃のスルーパスを狙っているようです。
サウジはボールを持てているのですが、持たされているとも言えます。
カバー二のポストプレイからでした。
オサマ・ハウサウィはついていくべきでしたね。
CKで、サウジの弱点の一つでもある、高さを突かれてしまいました。
決めたのはスアレスですが、ゴディンの競り合い無くしては生まれていないゴールです。
加えて、体重のミスマッチもありました。
スアレスは86㎏あります。
マッチアップした、ジャッシムは68㎏しかありません。
最初はスアレスが振り回していたのですが、ボールが蹴られてからは、相手に引っ張らせていました。
PK獲得との二段構えになっていた、このあたりの駆け引きも含め、スアレスが一枚も二枚の上手だったのでしょう。
またサウジは平均体重も低く、体格に恵まれたものは両CBにつかなければなりませんでした。
カバー二(184cm、71㎏)についていたのもシャフラニ(171cm、62㎏)で、そちらを狙われてもやられていたと思います。
セットプレイは、大差がつく模様です。
サウジはもう、セットプレイを食らってはいけません。
前半25分のバヘブリのミドルは素晴らしいコースでした。
スタメン起用に応えましたね。
前半30分のオタイフの、敵陣でのカバー二に対するタックルは強烈でしたね。
これでいいと思います。
カウンターが決まる前に、潰してしまえば、リスクはありません。
前半37分のアル・ドーサリのミドルも良かったです。
これ自体は可能性の無いシュートでしたが、今後につながる積極性の現れです。
南米の強豪に対して、アジアの強豪がゲームを支配できることが分かったのも、いい材料です。
ウルグアイのバイタルエリアが空いていることに、チーム全体が気が付いたようです。
対応される前に、仕留めてほしいです。
ウルグアイは、ベンタンクールとベシーノだけでは埋めきれないようです。
初戦と同じく、アラスカエタが入れば落ち着きますが、どうするでしょうか。
~後半開始~
カバー二がサポートに行くことで解決するようですね。
彼がスペースを埋めることで、チームは基本的に重心を低くできます。
キープすることで、攻撃に厚みが出るまで時間を稼ぐことができます。
前半は完全にサウジに支配されたのですが、おそらくは支配させていました。
会場が酷暑で、とてもフットボールができるコンディションではないので、意図的に潰していました。
試合が実質45分しかない(短くなる)と、状況の変化の回数が減ることによって紛れが無くなり、純度が高くなります。
そうなれば、サウジが先に動かなければいけません。
体力を使わされただけでなく、リスクを冒さなければならないので、サウジにとってはより厳しくなります。
初戦は、スアレスが黒子役だったのですが、今回はカバー二です。
彼は質も素晴らしいのですが、特に量が素晴らしいです。
スアレスがすっかり暑さにやられているのとは、対照的ですね。
ウルグアイが勝てば、彼がM.O.M.だと思います。
後半14分、トレイラとラクサールが入りました。
スアレスを下さなかったのが、驚きです。
強烈な消耗戦の為、オープンな展開になってきました。
グループAの第二戦は、共に死闘ですね。
ウルグアイに追加点が入るかもしれませんが、得点するためにサウジは受け入れるしかありません。
後半29分、怪我をしたバヘブリに変わって、カノーが入りました。
高さはあります(191cm)が、ヘディングはどうなのでしょうか。
後半32分、サフラウィが来ました。
初戦は不発でしたが、本来は強烈なヘディング持ちです。
カウンターが怖いですが、セットプレイが欲しいですね。
また後半40分の、カバー二のチャンスメイクからフィニッシュまで一人でこなす、カウンターは迫力満点でした。
一瞬ジョージ・ウェアがよぎりました。
後半44分、待望のカノーの初セットプレイがありました。
カノーは191cm、71㎏でマッチアップしたカセレスは180cm、78㎏です。
結果的には、カノーがまともな姿勢で打つこともかなわないまま、何事もなく処理されてしまいました。
セットプレイは高さだけでなく、体重も重要だということを再確認させた一戦でした。
~試合終了~
ウルグアイの1-0の勝利です。
暑さに支配された試合でしたね。
サウジは、もう少しバイタルにボールを入れられたと思います。
交代選手がそろったタイミングで、中央からワン・ツーで切り崩すことに、もう少しチャレンジしても良かったかもしれません。
アジア代表として、恥ずかしくない戦いをしてくれたと思います。
サウジに感謝します。
ありがとうございました。