2018 FIFA W杯 Group A サウジアラビア王国 vs エジプト・アラブ共和国 試合後感想
サウジアラビアは、第二戦に続き、酷暑を戦います。
サウジもエジプトも、平均気温の高い国ですが、この時期に国内リーグ戦はやっていないでしょう。
この試合の会場になる、ボルゴグラード・アレーナは、気温35度、湿度24%のとてつもないコンディションです。
ただでさえ、グループ突破の可能性が無くなるとモチベーションを保つのが難しいので、辛い戦いになります。
サウジは、前回良い働きを見せたブライヒが出場しません。
ベテランでいぶし銀の働きを魅せるジャッシム、チーム内得点王のサラハウィの不調もここまでの成績にダイレクトに反映されてしまいました。
一方エジプトは、大会最年長御年45歳のGKエル・ハダリが初出場です。
これまで出場したエル・シェナウィは良いプレーをしていましたし、堅守速攻に適した現代的なGKでもあるので、今後の為に一試合でも多く経験させたいところですが、母国の英雄に花道を飾るために、身を引いた形です。
この試合、ポゼッションとカウンターのチームの対決です。
両チームにとって今大会最後の試合になりますが、四年後に向けて、この試合を無駄にせずに、何かを掴んでほしいです。
~前半開始~
サウジは最終ラインもそこまで高くないのですが、持ち味の短いパスワークを出せています。
ひたすらポゼッションして押し潰す、スペインスタイルです。
相手のカウンター対策でもあります。
また、エジプトの両CBとボランチにあまりプレッシャーを掛けません。
展開力が無いことを見抜いてのことですね。
前半11分、早速ドーサリの初シュートです。
浮いてしまいましたが、今日も積極性は健在です。
初戦はシュートが無かったので、あまり可能性が無くても打つべきです。
前半14分にも、ドーサリのミドルです。
カウンターからのドリブルシュートでした。
難しいプレイですが、枠に飛ばして欲しいですね。
前半17分、サラーのコースといいスピードといい、素晴らしいドリブルがありましたが、エジプトCB人最速のモタズ・ハウサウィの速さ、対人の巧みさが上回りました。
今大会最高速の戦いだったと思います。
迫力がありましたね。
前半21分、エジプトに先制点です。
サラーの技ありシュートでした。
結果論になりますが、GKは出るべきではなかったです。
とはいえ、あんなシュートを決められる人はごく少数のワールドクラスのFWだけなので、ほとんどのGKがそれを体験できません。
この失点をなくすには、欧州主要リーグに参加するしかないと思います。
四年後の課題ですね。
そもそもは、ドーサリのパスミスです。
ボランチの位置からのロングパスは、オタイフに任せるべきだったのでしょう。
32分過ぎのトレゼゲとサラーの30m超のワンツーは、技術の高さを見せましたね。
トレゼゲも今大会枠内に打てたシュートはありませんでしたが、まだ23歳、これから成長してほしいです。
36分、サウジは今大会初めてといってもいい、決定的なチャンスを迎えました。
ファラジのミドルは入りませんでしたが、エジプトのバイタルエリアの隙をついた絶妙な攻撃です。
40分、ファティがまたやってしまいました。
サウジにPKを献上です。
彼はオウンゴールもしてしまっているので、母国に凱旋したとき怖いです。
しかしキッカーのムワラッドが外してしまいました。
サラーの二回目の決定機は、完全にオフサイドでしたね。
前半46分、まさかの二度目のPKです。
これは何なんでしょう?
ムワラッドとガブルが交錯したのですが、どちらが演技したのか分かりません。
スローで見てもよく分かりません。
ムワラッドは自然に倒れていますが、ガブルの方もそこまで強引に倒したり引っ張っているようにも見えません。
そこまで力が掛かる体勢ではないように、見えました。
結果、PKの判定になり、ファラジが決めました。
ついに今大会、サウジは初得点です。
振出しに戻ったところで、前半終了です。
~後半開始~
後半HTワルダが入りました。
それに伴い、サラーがトップ下にポジションチェンジしました。
サイードを下げてしまったので、配球に不安が残ります。
後半9分、バヘブリはきょう三回目のシュートですね。
ドーサリは威力のあるミドルはありますが、枠に飛んだシュートはありません。
それに引き換え、バヘブリはより繊細なシュートが売りです。
あまりペナルティエリアの外から撃たないので、確率が高そうです。
後半16分のファラジとドーサリのワン・ツーは、可能性がありました。
バルセロナみたいな崩しでした。
やはり理想はスペインスタイルなんですね。
後半18分、1トップのモフセンを下げてしまいました。
それに伴い、サラーとワルダのツートップになりました。
後半19分、ここまでいいプレイをしてきたバヘブリを下げてしまいました。
モガハウィ、アシリの連続したヘディングシュートがありました。
交代が当たったかと思いましたが、得点にまでは至りませんでした。
共にエジプトのGK、エル・はダリにふさがれたからです。
自身の価値を、これまでの実績ではなく、きちんと今の実力で示しましたね。
しかしシュート撃たれたのは、エジプト守備陣の足が止まってきたからです。
酷暑がきいてきたのでしょう。
サウジはそうでもないのですが、エジプトは明らかに運動量が減りました。
陣形をコンパクトにすることが出来なくなっています。
後半から入ったワルダだけは元気ですね。
次大会でもエジプト代表のキーマンになれる、好選手です。
後半33分、ムワラッドに代えて、シェフリです。
初戦で活躍した通り、優秀なドリブラーです。
この交代を見て、エジプトはカフラバが入ってきました。
サウジもアタッカーが増えたので、エジプトもアタッカーを増やしてしまいましたが、ますます中盤でボールを持てなくなる可能性もあります。
ゴール前での密度は上がりますが、シュートを打つ回数が激減しそうです。
賭けですね。
後半49分、ドーサリのゴールで勝ち越しました。
サウジのパスワークと、エジプト守備陣の足が止まったことが合わさっての得点でした。
サウジアラビアの勝利です。
~試合終了~
詳細は後述しますが、共にムスリムの多い国なので、ラマダンを行っている選手・スタッフもいたであろうと思われるので、それだけでも大変だったと思います。
加えて酷暑だったにもかかわらず戦い抜いた選手たちには、ただただ脱帽です。
勝敗はついてしまいましたが、素晴らしい試合でした。
アジアの為にも勝ってくれたサウジには感謝したいですし、エジプトもサラーだけではないことを示せたと思います。
サウジの選手たちには、できることならまたラ・リーガ(西)に挑戦してほしいですし、エジプトもサラーの活躍でプレミアリーグ(英)志向が高まっているようなので、楽しみにしたいと思います。