2018 FIFA W杯 Group B イラン・イスラム共和国 vs ポルトガル共和国 試合後感想
二戦目は負けてしまいましたが、まだ可能性の残るイランと、ロナウド擁するポルトガルの戦いになります。
グループAの結果を受けて、ポルトガルも1位通過を狙いたくなりました。
そのため、あまりメンバーを落とさずに望むことになりそうです。
イランは、超攻撃的な布陣です。
バランサーのショジャエイを外して、ジャハンバクシュを中盤で使ってきました。。
CHで起用するならアンサリファルドかと思っていたので意外でした。
実質4トップなので、攻守でバランスが取れるか、エブラヒミの活躍が鍵となりそうです。
一方、ポルトガルの右サイドは、クアレスマが守備センスも運動量もありません。
しかしアタッカーとしては一級品なので、攻撃に専念させれば活躍すると思います。
その為には、彼以外の三人の中盤の選手でバランスをとる必要があります。
新旧スポルティングトリオで組ませればよいのでは、と思ったのですが、ボランチコンビだけでした。
その片割れである、アドリエン・シルバに期待しています。
働き次第では十分に、今後の先発奪取は可能だと思います。
~前半開始~
想定通り、イランが深く守ってきたので、ポルトガルは最終ラインを上げて、コンパクトな陣形で攻めなければならなくなりました。
得意のカウンターが機能しそうにないので、クロスからロナウドもしくはアンドレ・シウバのヘディング狙いになりそうです。
ポルトガルは今大会初めて、ポゼッションする側に回ったのですが、どこでボールを持つかもはっきりしないので、逆にカウンターをもらいそうで、危ないです。
前半6分、7分に、そのイランのカウンターが、機能しました。
共に中盤を省略する展開になっているので、イランの4-2-4の中盤が2人しかいないことも気になりません。
先制できるかもしれません。
しかし、前半8分に最終ラインとGKの間にボールが入ってきたり、前半12分にGKがクロスをファンブルしたりと、イランに流れが悪くなってしまいました。
段々と、ポルトガルが猛攻を仕掛け続ける時間が続きました。
ポルトガルは精度の高いボールを入れられているので、得点しそうです。
イランはあと一歩、プレッシャーを掛けなければいけません。
前半も半ばを過ぎて、イランは、左サイドで組み立てて、右サイドで決める形が機能しそうだということが、解ってきました。
タレミの高さとキープ力、ジャハンバクシュの二列目からのタイミングのいい飛び出しと決定力を活かすシステムです。
ポルトガルはポゼッションできるので、イランの攻撃チャンスを限りなく少なくしてくる戦法を採用するといわれていましたが、そうではなく、お互いにカウンターを繰り返す、肉を切らせて骨を断つ戦法を採用しました。
前者はバルセロナ寄り、スペイン代表寄りです。
後者はロナウドが所属する、レアル・マドリーが得意としている戦法なので、こうなることは実は容易に想定できました。
お互いにカウンターを得意にしている両チームですが、互いに繰り出しあえば、点の取り合いにはなりますが、より攻撃力のあるチームが、うちかちます。
またポゼッションできる方は、リードした際に、残り時間次第ではこの戦い方を止めて、一方的にポゼッションして試合を殺す方向にシフトすることもできます。
イランとしては、リードされてしまってはチャンスが無くなります。
チャンスは数少ないですが、先制しなければ苦しくなるので、決めなければいけません。
アンサリファルドの途中交代も含め、押し込んでほしいです。
と言っているうちに、ポルトガルが得点です。
前半45分、終了間際に、クアレスマが決めてしまいました。
彼の代名詞でもある、素晴らしいトリベラキックでした。
ポルトガルらしい、あまり連動しているとは言えないのですが、高い個人技が繰り返しが実を結びました。
失点した時間帯は最悪でしたが、イランもカウンターの形はできているので、まだまだ分かりません。
ポルトガルの左SBゲレイロが一枚イエロカードをもらっているので、タレミを起点にするのは間違っていないと思います。
ポルトガルも手を打ってくるとは思うのですが、先に動くべきでしょう。
後半最初のプレーが、楽しみです。
ここでどうにかできないと、交代カードを切らねばならなくなってくると思います。
~後半開始~
イランは、なぜか最終ラインと中盤の間を空けてしまいましたね。
ミドルプレスでは、ボールを奪えないと思います。
結局、その中間のハーフスペースからバイタルエリアに斜めにカットインされて、ロナウドにPKを獲られてしまいました。
しかし自身で獲得したそのPKを、彼は外しました。
GKが優位に立った風でもなかったので、ロナウドのミスだと思います。
相手を同格とみなしていれば、もっと威圧していたと思います。
あっさりしていましたね、これが命とりにならなければいいと思います。
とはいえ、VARが機能しましたね。
段々と、ロナウドやネイマールのためのシステムのような気がしてきました。
その割に高くつきます。
コストパフォーマンスを考えると、全ての試合で使わなくてもよさそうです。
後半10分、ハジサフィに代えて、モハマディの投入です。
ハジサフィはカードをもらっていたのですが、CKとFKのキッカーでもあったので、1点を争うこの状況では、イランにとって痛すぎる交代といえます。
後半20分過ぎには、イランのプレスの強度が弱まってきました。
もはや6バックのようになっていて、最前線にはアズムンしか残っていません。
結局イランとしては、最終ラインと中盤のスペース、エブラヒミの脇のスペースでボールをキープされていては、チャンスがありません。
スペイン戦を参考にするなら、そこは潰すしかありません。
スペインと違って、イランはSBがサイズがあるので、放り込みにも耐えられると思います。
前半の最前線のハイプレス&リトリートから、後半にミドルプレスに代えてきたのですが、もう一度前半のやり方に戻すべきでしょう。
後半24分、クアレスマの代えてベルナルド・シウバ、ジャハンバクシュに代えてゴッドスが入ってきました。
ベルナルド・シウバは、間受けの巧い選手です。
イランは中盤の選手が一人減ったこともあり、リトリートしても、エブラヒミの脇のスペースでキープされてしまっています。
攻撃的な選手過多が、機能していません。
スタメンの状況が、ギリギリの攻守バランスだったのかもしれません。
にもかかわらず、後半30分、エザトラヒに代えてアンサリファルドが入ってきました。
ポルトガルはボールをキープすることもなく、オープンに打ち合ってくれています。
この一点において、イランには僅かにチャンスが残されていますね。
後半39分、マリオに代えて、キープ力のあるモウティーニョが投入されました。
これでイランは、万事休すかもしれません。
このままで終わってしまうのかと思いましたが、イランが、後半45分、最後の最後でPKを獲得しました。
これまでミスらしいミスのなかった、ソアレスのハンドです。
彼は172cmしかないので、彼めがけてロングボールを放るのが、上手くいきました。
結果、アンサリファルドがPKを決め、イランが追い付きました。
後半29分のシーンも含めて、正直なところ、二回獲得できたのではと思いましたが、一発は決めることができて、よかったです。
これまでであれば、弱小国がPKをもらうなど、考えられませんでした。
本当に公正なゲームが増えたと、感心します。
フットボールが、地球の言語として、恥ずかしくないものになってきました。
~試合終了~
最終的に1-1の引き分けでした。
最後までどうなるかわからない戦いでしたね。
前回大会はアジアは不振に苦しみましたが、今大会は頑張りました。
アジアの国が、ヨーロッパチャンピオンに肉薄したことは素晴らしいことです。
オーストラリアと日本は結果を求めることができる立場なので、グループリーグを通過して、アジアの地位向上に貢献してほしいです。