Semi-Finals クロアチア共和国 vs イングランド 試合後感想
疲れ切った、満身創痍のクロアチアと、期待を裏切り続けた、サッカーの母国の中心地域、イングランドの対決になります。
クロアチアの執念、精神力が勝つか、イングランドの体力が勝つのか、注目です。
その方が、モドリッチが楽できるので、良いと思います。
ブロゾビッチも、昨シーズンはレジスタという新境地を拓き、クロアチア代表の中盤にも、より機能性を加えました。
ラキティッチのサイドチェンジも絶品です。
決勝Tに入って、最大の武器の一つになってきました。
体力が要らないので、しばしば繰り出されるかもしれません。
守備陣も、粘りを見せています。
ギリギリで崩壊していないので、残り二試合、踏ん張って欲しいです。
正直、守備陣の出来が、勝負を分けてしまうと思います。
イングランドは、そろそろデレ・アリに活躍してほしいです。
ララーナの代わりに、高さのあるロフタス・チークを連れてきたのですが、ベルギーは言わずもがな、フランスにも高さが通じないことが、判明してしまいました。
彼を使える局面が存在しなくなってしまったことと、控えFWが特に仕事していないことを考えると、デレ・アリかスターリングの得点力も、必要になる気がしています。
決勝Tに入って、日替わりでヒーローが生まれてきました。
彼らにも、続いてほしいです。
そして、国際舞台になると大人しくなる悪癖を克服し、好勝負を繰り広げてほしいです。
~前半開始~
前半5分、いきなりイングランドが先制しました。
直接FKを、トリッピアーが決めました。
彼はこれまで今大会、素晴らしいアーリークロスを放って来ました。
それだけではありません。
ベルギーと同じく、左WBは本職のWBじゃないので、右WBの彼が出場できなくなるだけで、システムを変えざるを得なくなってしまいます。
ベルギーの右WBのムニエのように、欠かせない選手の出場停止は、チームにとって致命傷になりました。
そういった意味でも、彼は先制点だけでなく、安定した守備をしながら、イエローカードをもらっていない点でも、素晴らしいのです。
この後、追加点が入ることがあっても、今日のヒーローは、トリッピアーで決まりかもしれません。
個人的には、どちらがゲームをコントロールするのか、ということに注目していたのですが、当初クロアチアだと思っていました。
しかし、イングランドの体力とデュエルの強さが、クロアチアの支配力を上回ってしまっています。
クロアチアは体力が余っている、コバチッチをスタメンに起用すべきだったかもしれません。
その後、リンガードがあと少しで、決定的なプレイができるシーンがありました。
彼は昨シーズン、モウリーニョのサッカーを一年間、フルにこなしたことで、開花したのでしょう。
疲労回復能力が、図抜けています。
今フランスでは、母国の英雄、クリス・フルームが戦っていますが、リンガードはサイクルロードレーサーとしても、成功できたかもしれません。
この試合では、特に分かりやすいです。
前半、クロアチアは疲労の色を隠せませんでした。
しかしイングランドも、お付き合いしてくれました。
本来体力が有り余っているなら、それで相手を押し潰すべきです。
後半は、クロアチアの体力を使わない奇策にも、期待したいと思います。
~後半開始~
前半30分過ぎから、少しづつではありますが、クロアチアは試合のリズムに慣れてきていました。
体力が残っていないことは、間違っていないので、早めに追いつきたいところです。
イングランドは、ウォーカーのプレイが、少し不安定です。
トリッピアーの攻撃力は魅力なのですが、少し守備的に振る舞うべきかもしれません。
笛が少し、クロアチア寄りな気がします。
コーナー付近で妨害したウォーカーにはすぐイエローを出したのに、カウンターを止めたロブレンは、お咎めなしでした。
18分の、ウォーカーが傷んだシーンも、ボールをクリアした時点で、止めてよかったと思います。
23分、ついにクロアチアが追い付きました。
デレ・アリが緩慢な守備から、ヴルサリコに良いクロスを上げられ、ウォーカーは、背後から迫ってくるペリシッチに気付かず、ヘディングシュートを決められてしまいました。
両チームとも、受けたら負ける気がします。
点の取り合いが見られそうです。
その後、お互い猛攻を続けたのですが、追加点は入りませんでした。
後半も濃密でしたね。
~延長前半開始~
クロアチアは、まさかの交代なしです!
どんどん噛み合ってきてはいたのですが、流石に、体力的に限界でしょう。
ブロゾビッチが走れなくなる前に、彼かラキティッチに代えて、バデリかコバチッチは使えないのでしょうか。
レビッチに代えて、ピアツャ、マンジュキッチに代えて、クラマリッチもいいかもしれません。
退場対策にも、なります。
結局、クロアチアは交代枠を二つしか使いませんでした。
イングランドは、あまりいいところがありませんでした。
PK戦を見据えた方がいいかもしれません。
イングランドに、もう一度PK戦をやる胆力があるかどうか、延長後半が見ものです。
~延長後半開始~
クロアチアに、追加点です。
マンジュキッチの素晴らしい飛び出しから、ゴールが生まれました。
このゴールの前のブロゾビッチの飛び出しにも、イングランドのディフェンス陣は反応できていませんでした。
先に体力が尽きたのは、イングランドでした。
若さと勢いでここまで勝ち上がってきた、イングランドですが、若い選手の弱点でもある、集中が切れる場面は、今大会何度もありました。
一方、少なくてもここ20年ほどは、ベテラン選手たちであっても、経験を活かした狡猾なプレーや、知性を感じさせる柔軟なプレーを、見せてはくれませんでした。
一言でいうと、頭はヘディングでのみ、使ってきたともいえます。
これから、世界一に輝いた若い世代が加わってきますが、より若さが強調されることになるので、この傾向に変わりはないかもしれません。
最大限の結果を出せたと思います。
そして、この試合は好勝負と言えるでしょう。