プレミアリーグ第5節 マンチェスター・C vs フルハム(9/15) 試合後感想
危なげなく勝ち星を重ね続ける、ここまで3勝1分のシティと、前節は勝ちきれずに引き分けてしまった1勝1分2敗のフルハムの対決になります。
シティは前節、相手が引きこもって守ってくるとの予想から、極端なフォーメーションである4-2-4を採用しました。
正直アタッカーがだぶついて暇を持てましており、中盤の二人は忙しいわで、バランスの悪さだけが目につきました。
ペップ監督にはたまにあることですが、策士策に溺れるという印象でした。
中核であるデ・ブルイネが怪我のため、2,3か月の離脱中なので、チームの形が見いだせないのも当然ではあります。
オタメンディもここまで出場はなく、不安です。
とはいえディフェンディングチャンピオンとして、その強さを見せつけてほしいと思います。
この試合のポイントは、フルハムの強力な攻撃陣をシティのディフェンス陣が受け止めきれるか、です。
守備力だけで判断するなら、攻撃参加などに色気を出さないならば、マンガラも充分に活躍します。
オタメンディが来るまででもいいので、使ってみてほしいです。
一方、フルハムはこの試合はアウェーでもあるので引き分けでも構いません。
引きこもって守り切ることが出来れば、その可能性も出てくると思います。
カウンターの威力はあるので、時間は稼げそうです。
問題は前節SBに起用されたCBコンビです。
フォスメンサーもル・マルシャンも、4バックシステムにおけるSBに適性は無さそうでした。
5バックにするか、本職を起用するか検討する必要があります。
この試合のスタメンが楽しみです。
ところで、選手がピッチに入ってくる際にキッズと手をつないでくる光景はよく目にしますが、シティの選手たちが右手にキッズ、左手に高齢者の方々を連れて入場してきました。
シルバやフェルナンジーニョがだれかのおばあちゃんの手を引いているのが、めちゃくちゃ可愛いです。
約20年前、トニー・アダムスは、試合前には酒を飲まないと、緊張で足が震えるといっていました。
今よりもフィジカルコンタクトがはるかに激しく、めったなことでは笛はならなかったので、戦場に赴く気持ちで臨む選手も大勢いたことでしょう。
90年代はアルコールが蔓延する、そういう時代だったのです。
それがいまや、赤ちゃんやおばあちゃんがピッチの中に入り、記念撮影しています。
オールドファンは目を疑うでしょうが、きっとこれが正しいのです。
あらゆることがより知的に、スマートになったと解釈しましょう。
スタメン発表です。
オタメンディとデルフ、サネが初出場になりました。
控えにもジンチェンコ、フォデンとGKのムリッチが入り、初出場するかもしれません。
ストーンズは控えからになり、オタメンディを支えるのはラポルトです。
左足のフィードは素晴らしいのですが、肝心の守備は危なっかしい彼が、ここまでディフェンスリーダーになっていますね。
一方フルハムも、先発には変更がありました。
両SBが不安だったので、クリスティとセセニョンになりました。
中盤も、前節時間稼ぎを全うしたヨハンセンが先発入りです。
本来先発のケアニーは控えにもいないので、何かあったのかもしれません。
前半1分、いきなりサネのゴールで、シティが先制です。
ゴールキックを受けたオドイがセリに出した横パスをフェルナンジーニョがインターセプトして、ゴール前まで迫り、エリア内でファーにいるサネにグラウンダーのパスを出しました。
これを簡単に流し込むだけだったので、ほとんどフェルナンジーニョの得点でしたが、サネも結果が出せ、一安心だと思います。
この後はカウンターの応酬になります。
共に中盤のプレスの網は細かいのですが、それ以上のクオリティで以って解決しあい、ゴール前まで迫ることが出来ています。
前半14分、ベルナルド・シウバのキーパスがスターリングに通り、彼がベッティネッリの股下を狙ったシュートを放ち、跳ね返ってクロスバーをたたいたりもしたのですが、結局入りませんでした。
前半17分、またしてもB・シウバからスターリングでしたが、今度はセセニョンにカットされました。
ここから攻撃につなげられないのが、フルハムの辛いところです。
ダイレクトプレイで繋げているのですが、その他の選手のポジショニングの差が出ています。
前半20分、ダビド・シウバの得点で、シティが追加点です。
B・シウバがスターリングからパスを受けてエリア内に侵入、ヨハンセンのプレッシャーを受けながらもキープできたところも素晴らしかったです。
ここからアグエロに渡り、彼がシュート、いったんはオドイに防がれます。
しかし、エリアの外から斜めに全速で走りこんできたDシウバがこぼれたところを何気なく胸トラップして、何気なくダイレクトで叩き込みました。
これは彼にしかできない技術の粋でした。
できるとすれば、あとはメッシくらいだと思います。
前半26分、PKになりそうなオタメンディのスライディングです。
交錯したボールがビエットに出てしまい、ショートカウンターの形になってしまったので、後ろから追いかけたオタメンディが脇から突き刺しましたが、ボールにいっていたので、問題なしです。
今シーズン、リーグ戦初出場ながら、体がキレているようです。
前半29分、シュールレの、エリアギリギリ外でのミドルシュートが、ニアの上隅にいきました。
シティ守備陣は、エデルソンの素晴らしい反応で、事なきを得ました。
このあとはお互いに攻撃が形にならないのですが、D・シウバが絡んだ時だけ、決定的なチャンスが生まれています。
彼はハーフスペースを攻略する目と、タイミングを計算し判断できる頭を備えています。
両チームにこれだけ素晴らしい選手がそろってなお、彼が最も優れている選手だということがはっきりわかるというのは、恐ろしいことですね。
タイトルさえ獲っていれば、彼もバロンドールに相応しい選手です。
彼の為にも、シティは近いうちに一度は、CLで優勝してほしいです。
前半40分、シュールレのエリアギリギリ外でのミドルシュートは、エデルソンに防がれました。
前半43分、ようやくフルハムにも攻撃の形ができます。
セリのカットからビエットの横パス、シュールレが落として、再びヨハンセンの縦パスからミトロビッチがポストプレイして、セリが左サイドに大きくサイドチェンジのミドルパス、これをアーリークロスで逆サイドのミトロビッチに届けましたが、ファウルになってしまいました。
これらはほとんどダイレクトで、非常にレベルが高かったです。
このあと、サネのゴールが入ったかに見えたシュートもありましたが、ここまでで前半が終わりました。
後半1分、今度はスターリングがシュート、これが決まってシティに追加点、3-0になりました。
カウンターからだったのですが、アグエロがセセニョンの裏のスペースを使い、モーソンを振り切ってサイドをえぐり、グラウンダーのクロス、中のオドイは反応できなかったですね。
クロスが早すぎたので、ディフェンスは触るのも危険でした。
アグエロがモーソンを振り切る前に、中にカットインしようかパスしようかという動きを見せたのが、決め手だったと思います。
視線や雰囲気だけでもフェイントになりますが、1対1の攻略という一点において、アグエロは達人ですね。
またチームとして、1点目もそうですが、アシストの割合が大きいのがシティの特徴でもあり、得点を大量生産するコツなのだと思います。
後半7分、アグエロに代えて、ガブリエウ・ジェズズの投入です。
後半9分にも、D・シウバとサネの連続したワンツーから、最後はジェズズのフィニッシュでしたが、枠にはコントロールできませんでしたね。
後半10分、セリに代えて、ザンボ・アンギサの投入です。
後半13分、B・シウバとサネのハーフスペースを使ったワンツーの攻略から、最後はフェルナンジーニョのミドルシュートに繋がりました。
B・シウバは、D・シウバの後継者足りえる知性や閃きを感じさせます。
後半21分、デルフに代えて、ギュンドアンの投入です。
フォーメーションは変わらず、ギュンドアンがアンカーに入り、フェルナンジーニョがアンカーから右SBへ、ウォーカーが右SBから左SBへ移りました。
後半28分、スターリングに代えて、マレズの投入です。
前線の流動的なポジションチェンジは、無くなるかもしれません。
後半35分、ダイレクトプレイの連続ですっかり疲れて足の止まったフルハム守備陣を尻目に、ウォーカーが、CBの間に入るように斜めにカットインしたジェズズを見逃さずに、後方からのロングパスを届けました。
これを左サイドに流れながらキープしたジェズズが、エリア内ゴール正面に走りこんできたB・シウバに横パスを出したのですが、彼はふかしてしまいました。
右足で蹴ればよかったのですが、左で蹴るには足元に入りすぎてしまいました。
左から来たボールを左足で合わせるのは難しいので、パスが悪いとみることはできません。
問題があるとすれば、彼個人の判断の領域にあると思います。
結果、3-0でシティの勝利です。
サネ、デルフ、オタメンディも問題なく運用できました。
代わりに出た、マレズ、ジェズズがパッとしなかったので、ジンチェンコ、フォデンの活躍がみたかったのですが、残念だったのはそれくらいです。
この試合も、結果から見れば一方的に見えるかもしれませんが、後半途中までは非常にレベルの高いゲームだったこともあり、CLに向けて、いい準備になりました。
フルハムも底力を見せられたので、よかったです。
優勝チームとの差を感じられて、いい経験になったと思います。
総合的には、内容の濃い、非常に素晴らしいゲームでした。
見どころの多いゲームだったので、後半20分くらいまで出でもいいので、観られる方はぜひ見てほしいゲームです。