Group F ドイツ連邦共和国 vs メキシコ合衆国 試合後感想
この試合は、何が起きているのか把握するのが、とても難しいです。
メキシコが、非常に複雑な戦術を使ってくるからです。
彼らは、守備は基本に忠実に人海戦術ですが、攻撃は即興でコンビネーションを繰り出します。
複雑な決まり事をセットプレーのように繰り出すのではなく、クラブチームのような阿吽の呼吸で繰り出します。
攻撃陣の高い技術に依存しているだけなのですが、まるで何の戦術も使っていないかのようです。
ほとんどのチームにはプレー原則があり、プレー選択にも、状況選択にも優先順位があります。
それが無いのです。
なんでもできる、全て強いチームならそれでもいいのですが、そもそも完璧なチームなど存在しません。
優勝候補のドイツやブラジルですら、明確な弱点があります。
それに対して、メキシコは高さがないという、はっきりとした大きな弱点があります。
デュエルにも強くありません。
にもかかわらず、そこを突かれないようにしながら、戦ってこれたのは驚きです。
攻撃に関しても、中央から攻めるのかサイドから攻めるのかすら、その場のノリです。
システマティックなスペインが成功するまで、日本など体格に恵まれない国がメキシコに憧れたのもわかる気がします。
一方ドイツは分かりやすいです。そして、たぶん最強です。
~前半開始~
テア・シュテーゲンを出してあげる、絶好の機会ではなかったでしょうか。
彼も十分に世界王者の正GKに相応しいのですが、レーブさんは、ベテランの経験値をとりました。
しかし、メキシコが先制しましたね。
しかもドイツからすれば、最悪です。左SBを突かれると思っていたのですが、右SBのキミッヒの裏を突かれました。
今後キミッヒが怖がって下がれば、今度こそ左を起点に、ラウール・ヒメネスなど高さのある選手をキミッヒにぶつけて折り返し、こぼれ球を押し込むプランが待っています。
悪循環に入ってしまう可能性もあります。
とにかく縦パスが入らないので、攻撃の形ができません。
何とかする必要があります。マリオ・ゴメスの出番ではないでしょうか。
~後半開始~
ロイスですか。
彼を入れるのは賛成ですが、2人目は、ドラクスラーにかえて、ギュンドアンはどうでしょう。
最終ラインはマンツーマンではないので、受け手を増やすのが正解だと思います。
ただ、出し手も増やしたい。
贅沢な悩みですが、解決する方法があります。
それが、ギュンドアンです。
中盤の守備とゲームメイク、前線の飛び出しで活性化するはずです。
余談ですが、かつて本田がミランにいたころ、右SBにアバーテという選手がいました。
攻撃力はあるのですが、守備に難があり、守備の国・イタリアでは酷評されることも珍しくありませんでした。
キミッヒの右SBのプレーを私が初めて見たのは、ベップがまだミュンヘンにいた頃です。
ベップは彼を絶賛していたので、彼がアバーテのようなミスをすることを見過ごしてきてしまいました。
私たちみんなが、彼を絶賛し、2年間見過ごしてきたのです。
攻撃の貢献は確かに素晴らしいです。
しかしシャビにディフェンダーができないように、彼にも難しいようです。
彼はシャビにはなれるかもしれませんが、セルジ・ロベルトにはなれないようです。
アンチェロッティ以外、そのことに気が付く人はいませんでした。
彼が恥をかいたとするならば、その責任を彼一人に押し付けるのはフェアではないと思います。
しかし、レーブのことですから、次の試合から本職のCBを右SBとして使う可能性があります。
彼もまだ23歳、今後のキャリアが暗転しないことを願うばかりです。