Round of 16 スウェーデン王国 vs スイス連邦 試合後感想
イブラヒモビッチ、ラーション、リュングベリを擁してなお、ベスト16の壁を越えられなかったスウェーデンが、FIFAランキングでは上位のスイスに挑みます。
これまで、観客を味方につけたのは、ロシア代表だけではありません。
ロシアのクラブに所属する選手も、ホーム感を味わっているでしょう。
アイスランドのラグナル・シグルズソンもそうでしたし、スウェーデンのグランクビストもそうです。
スウェーデン代表での彼は、キャプテンも務め、FIFAが発表したGSのベストイレブンにも選出されました。
今日も活躍してほしいですね。
持ち味の堅守を発揮して、得意のダイレクトプレイによる少ない手数での攻撃を成功させてほしいです。
一方、スイスは不安要素があります。
まず、累積の出場停止でCBのシェア、右SBのリヒトシュタイナーがいません。
リヒトシュタイナーはキャプテンでもあったので、不在は影響がありそうです。
次に、シャキリ、ジャカの政治的メッセージのチームへの影響です。
自分たちのルーツに対するそれは、W杯だからこそ効果があるという、当人たちの言い分は理解できます。
それに対する、スイス人、移民系のそれぞれの感情・事情についてはここでは触れません。
日本は、政治的メッセージ、差別的メッセージに鈍感な国ですが、かなり敏感な国もあって、スイスはその一つです。
それでも、あのゴールパフォーマンスが、チームに迷惑をかける行為だったことを解っていない人は、スイスの代表チームに、もういないでしょう。
シャキリとジャカは、主力であり、欠かせない選手です。
しかしこの一件で、チームの勝利より、優先するものがあることを示してしまいました。
一人のプロフェッショナルとして、彼らにまだ発言力が残されているのか、疑問です。
スウェーデンも簡単勝てる相手ではないので、この試合中は、全てを忘れてまとまってほしいです。
~前半開始~
スイスはゴール前で押し込む時間帯もあったのですが、流動的な動きに欠けました。
もとより高さ勝負では勝ち目がないのに、ポジションチェンジもなければ、可能性が生まれません。
スイスがカウンターを発動できないのに対し、スウェーデンは得意のショートカウンターに加え、エクダルの攻撃参加も見られました。
後半、エムボロはいつ入ってくるのか。
他に得点パターンはあるのか。
スイスは先に動かなければならないと思います。
~後半開始~
ベーラミとジャカのダブルボランチの連絡が上手くいってないように、見えました。
スウェーデンが先制したので逆説的ですが、守備的なザカリアを投入して、ベーラミと組ませて良く打ち合わせた方が良かったかもしれません。
ジャカから守備のタスクを取り上げて、外から撃たせれば得点の可能性は増すと思います。
結局、スウェーデンが勝ちました。
スイスは中盤の個人技という点では、スウェーデンを凌駕していました。
しかし、持ち味を出し切れたとはとても言えない戦いに終始しました。
リカルド・ロドリゲスのオーバーラップ、ジャカのミドル、シャキリのドリブル。
これらが有機的に結び付けば、もっと上を望めたと思います。
予選でもいい形ができていたのに、最後の最後でバラバラになってしまいました。
一方、イブラの合流を拒否して、チームで戦うことを選択したスウェーデンの勝利に拍手を送りたいと思います。
正しい判断でしたね。
ここで負けたら終わり、というゲームはグループリーグでもありましたが、決勝Tはもちろん全ての試合がそうなります。
にもかかわらず、全くつまらない試合でした。
見せ場はあったはずなのに、気迫に欠けました。
フットボールより大事なことはたくさんあります。
分かっているはずなのに、この虚しさは何なんでしょうか。