Quarter-Finals ロシア連邦 vs クロアチア共和国 試合後感想
おもに、ホームコートアドバンテージでここまで上がってきたロシアと、モドリッチがFW、MF、DFの仕事すべてに顔を出すという、見た目も中身もヨハン・クライフ激似の物真似芸を繰り出して勝ち上がってきた、クロアチアの対決です。
互いに死闘を越えて、ネタ切れになってきました。
共にPK戦を戦ったこともあり、疲れや痛みなど、回復しきれていないと思います。
しっかりとした準備ができていないので、自然と、極端に受け身になるか、超積極的になることが想像されます。
点の取り合いになるのか、膠着状態になるのか、分かりません。
しかし一発勝負のトーナメントなので、どちらかが得点した場合、逃げ切ろうとして守備を固めるため、ますます相手の攻撃を呼び込み、カウンターで追加点が生まれがちです。
ブラジルとベルギー戦のような点の取り合いには、なりにくいのです。
とはいえこの一戦も、カウンター合戦でしたね。
一般の方の為にも、死んでいる時間の少ないゲームになることを期待します。
スタメンが発表されました。
クロアチアは、中盤の選手が2人しかいません。
これでは、モドリッチはあまり持ち場を離れられません。
消耗は避けられるのでしょうが、ブロゾビッチか、バデリを入れて、彼に縦横無尽に働いてほしいです。
前線の四人のFWは、当面モドリッチ抜きで結果を出すことが求められていますね。
モドリッチに楽をさせるための布陣ですが、見方によっては、かなり攻撃的な布陣です。
ロシアは、ジルコフ以外ベストメンバーです。
スモロフはじめ、あまり控えが機能していないので、90分で決めたいです。
~前半開始~
殴り合いの展開になりました。
クロアチアは苦しいです。
数少ない弱点として、中盤の二人が体のぶつかり合いに強くないということがあります。
最初から、ロシアは強みを押し付けて、主導権を握ろうとしてきました。
中盤の数的優位も活かしています。
クロアチアとしては、ロシアの両SBがサイズがあるので、マンジュキッチが流動的にWGのプレイをしても、あまり機能しそうにありません。
やはり得意の技術の高さを使うべきです。
休日の日数は同じだったのですが、明らかにロシアのインテンシティが勝っています。
勢いのまま、チェリシェフの先制点が入りました。
モドリッチの守備の緩慢さが招いた失点です。
クロアチアは苦しくなったと思ったのですが、まもなく追いつきました。
この試合何本も決まっていた、ラキティッチのサイドチェンジから、前線の四人が仕事をしてくれました。
90分で決めたいロシアと、延長に行っても交代策を残しているクロアチア。
1-1なので、流れはクロアチア。
後半入ってすぐの、ロシアの猛攻を期待しています。
~後半開始~
クロアチアは慎重に時間を潰しながら、ゲームに入ることが出来ました。
苦しくなってきたロシアは選手交代に出ます。
エロヒンの投入です。
てっきり、ゾブニンと交代かと思っていましたが、一応同点なので、そこまでリスクは取らないようです。
14分のプレイは、眠気が吹き飛びました。
ロシアは助かりました。
あんな形で、ロシアは失点しなくてよかったです。
これまで、素晴らしい守備を見せてきたので、イージーなミスで大会を終えてほしくない。
クロアチアも、大丈夫です。
まだまだ余力を残しているので、是非披露してほしいです。
これまで、決勝Tに入って、死力を尽くす、多くのチームの戦いを見てきました。
クロアチアには酷なことをいうようですが、余力を残して悠々と勝って欲しくないのです。
63分、ついにブロゾビッチ投入です。
中盤の守備を彼に押し付けて、モドリッチが自由に振る舞い始めます。
モドリッチ劇場、スタートです。
ロシアは、チェリシェフとジュバを下げてしまいました。
延長を見据え始めたと思います。
そのことは、司令塔タイプのガジンスキの投入で、選手たちに周知されたと思いますが、運動量も爆発的なスプリントも、ロシアがまだ勝っています。
吉と出るか、凶と出るか、正念場です。
~延長前半~
クロアチアは、走れない選手が増えてきました。
交代枠も二つ、そこに費やしてしまいます。
ロシアは延長9分の最大の決定機に、外してしまったのが悔やまれます。
ロブレンの守備力よりも、スモロフの運び方に問題があったように感じました。
ついに、クロアチアが追加点です。
多分、チョルルカでしょう。
イグナシェビッチは、また一対一からやられてしまいました。
彼の所為かは分かりませんが、チームとしての、セットプレイの守備までは構築できなかったのは、分かりました。
時間も体力も残されていませんが、ロシアの最後の執念を見せてほしいです。
~延長後半~
スパシッチが、交代するほどではなかったにせよ、負傷しました。
また、互いに体力が残っている選手はいないだろうに、モドリッチが最後の体力を振り絞っています。
中三日では回復できないダメージが、両チームの選手に残ると思います。
ロシアが追い付きました!
ジャゴエフが、再三素晴らしいキックを蹴っていたのですが、今まで代表通算無得点ののマリオ・フェルナンデスのゴールです。
途中出場で決定機を二回外していた、エロヒンの意表を突くフリーランがありました。
あれで、フェルナンデスがフリーになれたのです。
奇跡の同点弾で、スタジアムが生き返りました。
終わり際、ゾブニンのミドルもありました。
彼は中盤の守備は素晴らしいものがありますが、攻撃のセンスはいまいちだったので、この試合も途中交代になるかと思っていました。
ここに至っての攻撃参加に、彼の潜在能力を感じました。
まだ若いので、是非ビッグクラブに行ってほしいです。
~PK戦突入~
クロアチアが勝利しました。
延長後のPK戦で勝つコツは、体力の残っているものに蹴らせることと、1~2人目のキッカーが、上隅に強く蹴ることです。
この試合のように、ほとんどの選手が体力が残っていない状態だと、膝が笑ってしまいます。
そのような状態では、普段はとても上手な選手でも、枠に飛ばすことさえ難しくなってしまうのです。
だから、後半に交代で入る選手は、そもそもPK戦に強いかどうかが、考慮されるのです。
また、キッカーは一度しかプレイできませんが、GKは5回プレイします。
よって、自チームのキッカーが、それぞれ個別にプレイするのではなく、蹴る方向や球威をばらけさせた方が、GKを惑わせることになります。
具体的には、最初の方のキッカーは、プレッシャーもかからないので、できれば厳しいコースに強く蹴ります。
そうすると、後の方の選手が、甘いコースに緩慢なシュートを打っても、自然と緩急をつけることになるのです。
しかし、ロシアは最初のキッカーである、スモロフが甘いコースに緩慢なシュートを打ってしまいました。
スモロフは大会通じて、機能することが出来ていませんでした。
とはいえ、ロシアは下馬評は最悪ながら、良く盛り上げてくれました。
正直言えば、グループリーグも突破しないんじゃないかと思っていたので、最大限の拍手を送りたいです。
この大会を機に、またロシアの選手がヨーロッパの最前線で活躍する姿が見られることを願っています。