2018 FIFA W杯 デンマーク王国 vs フランス共和国 試合後感想
フランスはグループリーグ突破を決めて、今日は大胆に6人もメンバーを変えてきました。
攻撃陣には、影のエースであるルマールと、若手のデンべレを起用してきました。
デンべレは初戦も活躍したのですが、攻守バランスをとるために割を食った形です。
ボランチには、スタメンの二人が持たない展開力と、フィジカルに優れたエンゾンジを、CBの一角には最終ラインすべてをこなせるキンペンべを置きました。
この二人は、スタメンに何かあったらすぐ代わりになれる実力者です。
SBには、本来スタメンのシディベとメンディを使いたかったのですが、使ってきたのは前者だけでした。
この二人は、いつまで調子悪いんでしょう。
GKには、ロリスの永遠のライバル、マンダンダがいます。
一方デンマークは、現地の予想では、まさかの5バックですね。
強豪相手には4-2-3-1ではなく、5-3-2が理想形の可能性もあります。
5-3-2は、攻撃時に3-3-4に変化します。
これまで得点力に悩んだので、高さのあるデンマークにとってやりやすい形、クロスボールを上げやすくて、ゴール前になだれ込みやすい形は、模索していきたいところです。
初戦に出場した、マティアス・ヨルゲンセンのパフォーマンスにも注目です。
まだグループリーグ突破は確定していないので、どうするかと思いましたが、前線の選手を二人入れ替えてきました。
正直、エースのニコライ・ヨルゲンセンに得点の香りがしないので、他の選手も試したいところです。
シストは使うようですが、ポウルセンも休ませましたね。
代わりに第2戦で起用されたブライスワイトとコーネリウスがスタメンです。
フランスはデンマークにとってこのグループ最強の相手になりますが、目に見える好材料が欲しいところです。
~前半開始~
前半5分、デンマークはいきなりCKのチャンスを得られましたね。
フランスはルマールの守備には、不安を抱えそうです。
デンマークは高さを活かすどころではありません。
エルナンデスの裏のスペース、右サイドを突いているのですが、全く攻撃のチャンスが生まれません。
GKや最終ラインにあまり展開力が無いので、正確なボールを前線に供給できないこともそれに拍車をかけています。
かといって、中盤に落としたらカンテとエンゾンジに刈り取られてしまいます。
グリエーズマンに好き勝手に間受けをされているのも、フランスのペースが続く要因です。
エンゾンジの展開力には期待していたのですが、前半25分のプレイにみられるように、裏に抜けるグリエーズマンの動きを見過ごしています。
スタメンでないことから、連携面では改善の余地がありそうです。
前半28分の、エルナンデスとエリクセンとマンダンダが交錯したシーンは、よくPKを取らなかったですね。
VARからのアシストもあったのかもしれませんが、スローで観れば何もなかったのが良くわかります。
またカンテもミスが多いです。
右サイドで組む、デンべレ、シディベとタイミングが合わないようです。
普段全くミスをしないだけに、らしくないです。
デンマークは、この間に攻め切ってしまいたいのですが、左サイドのシストが機能しません。
最初フランスは両SBが共に上がってしまうために、攻守のバランスに苦労していました。
それを受けて、次第に左SBのエルナンデスが自重するようになりました。
ここから、デンマークはフランスの右サイドを攻められれば良かったのですが、シディベの背後のスペースを埋めた、カンテに止められてしまいました。
やはり、フランスの左サイドを攻めるしかないかもしれません。
またグリエーズマンは、カウンターも含めて素晴らしかったですね。
メディアはエムバぺの方を取り上げていますが、エースとして高いクオリティを示していました。
~後半開始~
後半5分、メンディの出場です。
後半14分、シストに代えてフィッシャーの出場です。
ディレイニーはすっかり
後半23分、グリエーズマンに代えてフェキルの登場です。
引き分けでいいということから、互いに無理しない流れになっています。
~試合終了~
今大会初めてのスコアレスドローです。
フランスが1位、デンマークが2位で通過が決まりました。
シディベのプレイが安定せず、メンディに至ってはポジショニングがだいぶおかしかったです。
共に当初はスタメンだったというのが、信じられないクオリティでした。
エンゾンジはSBの明けたスペースにも入り込み、未然に危機を潰していたことから貢献度は非常に高かったです。
Group C オーストラリア連邦 vs ペルー共和国 試合後感想
ペルーのアルベルト・ロドリゲスに何があったのか、分かりませんが、それ以外は両チームともベストメンバーで戦えそうです。
初戦のような緊張感を感じられる、素晴らしいゲームになりそうです。
個人的な思い入れになってしまいますが、もしかしたら、デゲネクは出場することなく、大会が終わってしまうかもしれません。
だとしたら、悲しいです。ナバウトは出れたので。
とはいえ、大事なのはチームが勝つことです。
このスタメンが、最善の選択であることを祈っています。
ペルーにも引き続き、全力を尽くしてほしいです。
個のクオリティがあることは示しました。
あとは結果だけです。
~前半開始~
オーストラリアは高さを活かせていませんね。
中盤は、ペルーが支配しています。
加えて、オーストラリアの選手がボールをトラップした瞬間に、ペルーの、人とボールの間に体を入れて奪うやり方とミドルプレスがはまっています。
仕方ないので、オーストラリアは外で回すことになっているのですが、そうなると司令塔であるムーイがあまりボールを触れなくなります。
よって、攻撃の構築に非常に苦労しています。
ペルーはしっかり準備してきたということもあるのでしょうが、選手たちが理想的な精神状態なのかもしれません。
開き直ったのでしょう。
一人一人が、勤勉に約束事を守っていながら、遊び心も感じさせるプレイも見られました。
チームメイトのそんなプレイを見ると、緊張しすぎている選手も周りが視えてきます。
先制ゴールは見事でしたね。無駄な力が入っていない、素晴らしいゴールでした。
このままいけば、しっかりゲームをコントロールして、時間を潰せると思います。
攻守の要であるヨトュンがイエローをもらってしまったのだけが、不安です。
オーストラリアはこのままではいけません。
前半の半分以降は、フィニッシュの形がほとんど作れませんでした。
ムーイ、もしくは最終ラインからボールを引き出すプレイをする選手が必要です。
~後半開始~
この試合のキーマンだった、ヨトュンがいなくなってしまいました。
オーストラリアにとっては計算外でした。
細かいパスミスもありました。
戦術的にも、そして執念でも、ペルーが一枚上でした。
事前に何をすべきか、きっちり準備できたペルーと、時間が経つごとに可能性が無くなり、試合中に気持ちの整理をしなくてはならなかった、オーストラリア。
最後は時間を潰れるプレーに終始してしまいましたが、それでも戦ってくれた両チームの選手を称えたいです。
サウジアラビアもオーストラリアも、勝ち点以上の勇ましい戦いを見せてくれました。
アジアのためにも、残された日本がグループステージを突破したいです。
28日、23:00フジテレビです。
届くか分かりませんが、一人でも多く応援してください。お願いします。
Column vol.2 佐藤美希さんはサッカーを知らない?
佐藤美希さんという方が、NHKのW杯の試合前直前放送によく出てきます。
試合前の放送をほとんど見ていないので、ちらっと見たことがあるだけであまり知らないのですが、ネットニュースによると、選手の名前を言い間違えたり、的外れな質問をするそうです。
サッカーの知識が無い、と激しくバッシングされているそうです。
しかし、そもそもサッカーの知識のある方は、日本国民にどのぐらいいるのでしょうか。
岡田武史前監督がセネガル戦で「俺はサッカーのことが解らない」とおっしゃっていました。
将棋の羽生善治さんも同じことをおっしゃっていました。「私はまだ将棋のことが解らない」と。
この二人を引き合いに出した後に、自分の話をするのはあまりにも恐縮なのですが、私は2002年の日韓大会以来のフットボールファンです。
このブログを読んでくださっている方にはわかっていただけるかもしれませんが、少なくても、基本的なルールは把握しているつもりです。
例えば、フットボールが何人で行われるスポーツなのかぐらいは、知っているつもりです。
それでも、74年のオランダ代表の映像を見たとき、フットボールが11対11で行われるスポーツだということを、信じられませんでした。
TVの映像では、ピッチ全てを映すわけではありません。
だから、確実に2,3人多いよねと思いました。
FW、MF、DFに各一人ずつ、ヨハン・クライフいるよね、と。
また、GKと一部のプレイを除いて、選手は手を使ってはいけないスポーツだということも知っています。
しかしライカールト以降のバルサを見たとき、ロナウジーニョのプレイに恋に落ちました。
人間が、脚だけであんなプレイができるわけありません。
きっと、ひとりだけ手を使っていたに違いないのです。
前言撤回します、基本的なルールも分かっていませんね。
ところで、私はそもそも、たとえ技術は高くても、専門性の無いアナウンサーという職業にあまり好感を抱いていません。
自分の思想にしっかりとした軸があり、勉強し続ける意思のある、ジャーナリストのような方に、伝えて欲しいのです。
私にとっては、有名な大学を良い成績で出てなくても構わない、若くて美人じゃなくても、アナウンス技術が高くなくても構わないのです。
関係ないですから。
豊富な知識をまだ持ち合わせていなくても、不断の努力をし続ける意思とその源泉たる探求心を高く評価してしまっています。
そこには、自分はまだまだ何も知らないという、謙虚さが地盤があることでしょうから。
つまるところ、主に見た目によって好感度が高い、若いアナウンサー、キャスター、お天気お姉さんの伝えるニュースを優先的に見ていません。
ところで、佐藤さんの代わりに出てきた女性アナウンサーは、好感度の高そうな才女にみえました。
フットボールに興味あるのでしょうか。
彼女に対してではなく、彼女をキャスティングしたプロデューサーには、これからも視聴者のための放送を心掛けていただきたいです。
最後に。彼女のことも、佐藤さんのことも、私は批判することができません。
なぜなら、私はフットボールのことを何もわかっていないのですから。
批判されている方は、きっとフットボールに精通されているのでしょう。
羨ましい限りです。
2018 FIFA W杯 Group B スペイン王国 vs モロッコ王国 試合後感想
暫定ではありますが首位のスペインと、敗退が決定したモロッコの対決です。
今試合の会場となるカニーリングラードは、今大会最も寒い会場となります。
お互いパスサッカーを得意にしているので、熱すぎるよりは持ち味を出しやすいと思います。
スペインは引き分ければグループリーグ突破になりますが、負ければ分からなくなるので、あまりメンバーを落とせません。
唯一の変更点である、チアゴがW杯初先発ですね。
チアゴはブスケッツの代わりができる貴重な選手で、チャビの後継者ともみなされています。
バイエルンでは、CHだけでなくトップ下としても活躍しました。
中盤中央では何でもできるのですが、肝心のブスケッツがダブルボランチができるようなったかは、分かりません。
いつも以上に、気を付けてほしいと思います。
しかし、チアゴの先発には大賛成です。
正直、なぜイスコが使われて、チアゴが控えなのか理解に苦しむところがありました。
イスコにできることは、ドリブル以外は全てチアゴもできますし、パスサッカーにおいては、イスコは邪魔でしかありません。
足元の技術は微差だとしても、頭を使う仕事に関しては、雲泥の差があります。
一方モロッコは、今大会はもちろん、20年ぶりの勝利に向けて全力で戦うだけです。
ベナティアが出れないのは残念ですが、それ以外はフルメンバーで、挑みます。
既にヨーロッパで活躍している選手も多いですが、オランダやベルギーなど欧州のトップレベルから一つ下のランクでプレーしている選手も多いです。
是非この試合を飛躍につなげて、今後のレベルアップにつなげてほしいです。
~前半開始~
モロッコの前線からのプレスが、機能しています。
敗退は決まってしまいましたが、気力は充分なようで安心しました。
逆にスペインはブタイブ、ノルディン・アムラバトといったキーマンには厳しくマークにいっています。
いきなりモロッコが先制です。
前半14分の、ブタイブによるデ・ヘアの股下を抜いてのゴールです。
イニエスタのパスミスか、セルヒオ・ラモスのトラップミスによる失点でした。
スコアは動きましたが、モロッコはこれまで通り、最終ラインにまでプレスをかけるようで、構図は変わりません。
前半19分、イニエスタによる妙技で、スペインが得点です。
最後押し込んだのは、イスコでした。
イスコは巧いのですが、ボールを持ちすぎです。
今大会に参加している全選手の中では、上手さではかなり上位に入るでしょう。
しかしスペインの中盤ではイニエスタ、シルバ、ブスケッツより確実に下です。
自己満足のオナニープレイは、所属クラブでは許されるかもしれませんが、代表では力関係を理解したほうがいいと思います。
決まった後スペインの選手たちがイスコではなく、イニエスタに抱きついていたのが印象的でした。
スペインが一方的にポゼッションしているのですが、モロッコも効果的にカウンターを繰り出せているのが、素晴らしいです。
それだけに、エル・アーマディとノルディン・アムラバトがカードをもらってしまったのが痛いです。
スペインはほぼ進出を決めているため、怪我人を出したくないので、あたりを避けてきます。
とはいえ、モロッコは前線からの激しいプレスがカウンターの起点になっているだけに、もうすこし上手にボール奪取しないと、チャンスがありません。
そもそも、スペインの攻めが激しく、全てを受け止めきれるものではありません。
奪ったら、早めに逆サイドに展開して、セットプレイを獲得するほかないかもしれません。
その為には、勇気を出して、SBが上がるしかないと思います。
スペインがイニエスタを中心に、モロッコから見て右サイドでボールを回してくるので、上がるべきSBは左だと思います。
~後半開始~
後半1分、ピケにあたったボールはハンドだと思うのですが、イエローカードはおろか、VARすらしませんでした。
前半あれだけモロッコの選手には気前よくイエローカードを出していた審判とは、同一人物とは思えません。
後半9分、ノルディン・アムラバトに素晴らしいシュートがありました。
お互い様ですが、ゴール前にもかかわらず、プレスの効きが甘い感じがします。
後半13分のアムラバトのイニエスタに対するファウルは、イエローカードが妥当な感じがします。
だとすると、彼はすでに一枚もらっているので、退場ということになってしまうのですが、それも止む無しといえる反則だったと思います。
ゴールから30mのPKエリアの脇の位置だったのですが、モロッコの守備はファウルがきつすぎるか、間合いを空けすぎるか極端な守備になってしまっています。
後半17分、外れてしまいましたが、ピケの素晴らしいヘディングがありました。
ヘディングは額でするものであり、頭の頂点でするものではないのと教わると思います。
しかし、どうやったのかは分かりませんが、このプレーのように、頭の上に載せるようなヘディングでも巧みさがあれば、良いシュートを打てるみたいです。
彼はもともと、セオリー道理のものではなく、テクニシャン特有の、独特なシュートを打ちます。
それでも彼はよく入れてきたので、問題ないのです。
後半25分、ブタイブに代えて、エン・ネシリの投入です。
21歳の彼には、正直この試合ではなく、将来のための投資です。
後半28分、チアゴに代えてアセンシオの投入です。
決定的な働きができないプレーヤーではないのですが、引き分けの為に運動量としての投入になってしまいました。
この直後にイスコが余計なファウルをしてFKを与えてしまっていたので、彼に代えて投入するべきだったかもしれません。
後半35分、再びピケのファウルです。
おそらくPKだったのですが、またもや流されました。
VARはどこにいったのでしょうか。
しかし、このプレイで得たCKで、モロッコが勝ち越し点です。
エン・ネシリが結果を出してくれました。
こんなことならこれまでの二戦で使ってみるべきでしたね。
アセンシオもこの年齢にしては完成されているのですが、フットボールIQにまだ問題があるのでしょう。
技術的には大体のことが出来るようなので、監督コーチからの指示も曖昧なのでしょうが、もう少し役割を限定させてあげた方がもっと効率的に、賢くプレイできると思います。
後半38分、シルバに代えてロドリゴ、チィエクに代えてブハトゥズの投入です。
後半44分、スペインが追い付きました。
CKから、イアゴ・アスパスの巧みなゴールです。
一度はオフサイドで取り消されたのですが、VARで確認後、認められました。
しかし、そもそも逆側のコーナーから蹴っています。
オフサイドかどうとかではなく、これは無効にすべきです。
ルール上認められないものであり、公然と人をだます、詐欺行為です。
認められていいものでは、ありません。
全く理解できませんでした。
試合後でいいので、FIFAは誤審を、ミスを認めていただきたいです。
フットボールに対する、激しい侮辱以外の何物でもありませんでした。
~試合終了~
2-2の引き分けでした。
共にポゼッションを基調とする両チームですが、はっきり言ってモロッコが優勢でした。
最後は主審にゲームを壊されてしまい、後味は最悪でしたが、今後につながる素晴らしいゲームを披露できたと思います。
ともあれ、FIFAはこの試合を捌いた、主審のイルマトフさんとVARのドイツチームに、今大会このあとチャンスを与えるのかも注目です。
また、なにかしら声明を出して欲しいです。
まず、審判も人間なのでミスをします。
多分何もしないと思いますが、任命責任はあると思うので、出来れば誤審をFIFAの責任にして、彼らの今後のキャリアを守って欲しいです。
2018 FIFA W杯 Group B イラン・イスラム共和国 vs ポルトガル共和国 試合後感想
二戦目は負けてしまいましたが、まだ可能性の残るイランと、ロナウド擁するポルトガルの戦いになります。
グループAの結果を受けて、ポルトガルも1位通過を狙いたくなりました。
そのため、あまりメンバーを落とさずに望むことになりそうです。
イランは、超攻撃的な布陣です。
バランサーのショジャエイを外して、ジャハンバクシュを中盤で使ってきました。。
CHで起用するならアンサリファルドかと思っていたので意外でした。
実質4トップなので、攻守でバランスが取れるか、エブラヒミの活躍が鍵となりそうです。
一方、ポルトガルの右サイドは、クアレスマが守備センスも運動量もありません。
しかしアタッカーとしては一級品なので、攻撃に専念させれば活躍すると思います。
その為には、彼以外の三人の中盤の選手でバランスをとる必要があります。
新旧スポルティングトリオで組ませればよいのでは、と思ったのですが、ボランチコンビだけでした。
その片割れである、アドリエン・シルバに期待しています。
働き次第では十分に、今後の先発奪取は可能だと思います。
~前半開始~
想定通り、イランが深く守ってきたので、ポルトガルは最終ラインを上げて、コンパクトな陣形で攻めなければならなくなりました。
得意のカウンターが機能しそうにないので、クロスからロナウドもしくはアンドレ・シウバのヘディング狙いになりそうです。
ポルトガルは今大会初めて、ポゼッションする側に回ったのですが、どこでボールを持つかもはっきりしないので、逆にカウンターをもらいそうで、危ないです。
前半6分、7分に、そのイランのカウンターが、機能しました。
共に中盤を省略する展開になっているので、イランの4-2-4の中盤が2人しかいないことも気になりません。
先制できるかもしれません。
しかし、前半8分に最終ラインとGKの間にボールが入ってきたり、前半12分にGKがクロスをファンブルしたりと、イランに流れが悪くなってしまいました。
段々と、ポルトガルが猛攻を仕掛け続ける時間が続きました。
ポルトガルは精度の高いボールを入れられているので、得点しそうです。
イランはあと一歩、プレッシャーを掛けなければいけません。
前半も半ばを過ぎて、イランは、左サイドで組み立てて、右サイドで決める形が機能しそうだということが、解ってきました。
タレミの高さとキープ力、ジャハンバクシュの二列目からのタイミングのいい飛び出しと決定力を活かすシステムです。
ポルトガルはポゼッションできるので、イランの攻撃チャンスを限りなく少なくしてくる戦法を採用するといわれていましたが、そうではなく、お互いにカウンターを繰り返す、肉を切らせて骨を断つ戦法を採用しました。
前者はバルセロナ寄り、スペイン代表寄りです。
後者はロナウドが所属する、レアル・マドリーが得意としている戦法なので、こうなることは実は容易に想定できました。
お互いにカウンターを得意にしている両チームですが、互いに繰り出しあえば、点の取り合いにはなりますが、より攻撃力のあるチームが、うちかちます。
またポゼッションできる方は、リードした際に、残り時間次第ではこの戦い方を止めて、一方的にポゼッションして試合を殺す方向にシフトすることもできます。
イランとしては、リードされてしまってはチャンスが無くなります。
チャンスは数少ないですが、先制しなければ苦しくなるので、決めなければいけません。
アンサリファルドの途中交代も含め、押し込んでほしいです。
と言っているうちに、ポルトガルが得点です。
前半45分、終了間際に、クアレスマが決めてしまいました。
彼の代名詞でもある、素晴らしいトリベラキックでした。
ポルトガルらしい、あまり連動しているとは言えないのですが、高い個人技が繰り返しが実を結びました。
失点した時間帯は最悪でしたが、イランもカウンターの形はできているので、まだまだ分かりません。
ポルトガルの左SBゲレイロが一枚イエロカードをもらっているので、タレミを起点にするのは間違っていないと思います。
ポルトガルも手を打ってくるとは思うのですが、先に動くべきでしょう。
後半最初のプレーが、楽しみです。
ここでどうにかできないと、交代カードを切らねばならなくなってくると思います。
~後半開始~
イランは、なぜか最終ラインと中盤の間を空けてしまいましたね。
ミドルプレスでは、ボールを奪えないと思います。
結局、その中間のハーフスペースからバイタルエリアに斜めにカットインされて、ロナウドにPKを獲られてしまいました。
しかし自身で獲得したそのPKを、彼は外しました。
GKが優位に立った風でもなかったので、ロナウドのミスだと思います。
相手を同格とみなしていれば、もっと威圧していたと思います。
あっさりしていましたね、これが命とりにならなければいいと思います。
とはいえ、VARが機能しましたね。
段々と、ロナウドやネイマールのためのシステムのような気がしてきました。
その割に高くつきます。
コストパフォーマンスを考えると、全ての試合で使わなくてもよさそうです。
後半10分、ハジサフィに代えて、モハマディの投入です。
ハジサフィはカードをもらっていたのですが、CKとFKのキッカーでもあったので、1点を争うこの状況では、イランにとって痛すぎる交代といえます。
後半20分過ぎには、イランのプレスの強度が弱まってきました。
もはや6バックのようになっていて、最前線にはアズムンしか残っていません。
結局イランとしては、最終ラインと中盤のスペース、エブラヒミの脇のスペースでボールをキープされていては、チャンスがありません。
スペイン戦を参考にするなら、そこは潰すしかありません。
スペインと違って、イランはSBがサイズがあるので、放り込みにも耐えられると思います。
前半の最前線のハイプレス&リトリートから、後半にミドルプレスに代えてきたのですが、もう一度前半のやり方に戻すべきでしょう。
後半24分、クアレスマの代えてベルナルド・シウバ、ジャハンバクシュに代えてゴッドスが入ってきました。
ベルナルド・シウバは、間受けの巧い選手です。
イランは中盤の選手が一人減ったこともあり、リトリートしても、エブラヒミの脇のスペースでキープされてしまっています。
攻撃的な選手過多が、機能していません。
スタメンの状況が、ギリギリの攻守バランスだったのかもしれません。
にもかかわらず、後半30分、エザトラヒに代えてアンサリファルドが入ってきました。
ポルトガルはボールをキープすることもなく、オープンに打ち合ってくれています。
この一点において、イランには僅かにチャンスが残されていますね。
後半39分、マリオに代えて、キープ力のあるモウティーニョが投入されました。
これでイランは、万事休すかもしれません。
このままで終わってしまうのかと思いましたが、イランが、後半45分、最後の最後でPKを獲得しました。
これまでミスらしいミスのなかった、ソアレスのハンドです。
彼は172cmしかないので、彼めがけてロングボールを放るのが、上手くいきました。
結果、アンサリファルドがPKを決め、イランが追い付きました。
後半29分のシーンも含めて、正直なところ、二回獲得できたのではと思いましたが、一発は決めることができて、よかったです。
これまでであれば、弱小国がPKをもらうなど、考えられませんでした。
本当に公正なゲームが増えたと、感心します。
フットボールが、地球の言語として、恥ずかしくないものになってきました。
~試合終了~
最終的に1-1の引き分けでした。
最後までどうなるかわからない戦いでしたね。
前回大会はアジアは不振に苦しみましたが、今大会は頑張りました。
アジアの国が、ヨーロッパチャンピオンに肉薄したことは素晴らしいことです。
オーストラリアと日本は結果を求めることができる立場なので、グループリーグを通過して、アジアの地位向上に貢献してほしいです。
Column vol.1 日本代表について 二戦終えて、GK川島を今後使うべきか?
結論としては、分かりません。
五分五分です。
が控え選手を使っても不満はありません。
理由はいくつかあります。
まず川島選手自身の問題です。
正直、全盛期の彼と比べて、大きく衰えています。
それが今大会で表面化してしまったことは、彼にとって不運であったといえるでしょう。
そもそもGKは、30歳過ぎてから技術的・精神的に成熟して、完成されてきます。
と同時に、衰えも迫ってくるのです。
技術的には、年々コーチングは巧くなり、読みも鋭くなります。
唯一、ピッチ全部が把握できるので、最終ラインのコントロールだけでなく、チーム全員に対する指示も的確になります。
よって精神的にも自然と、普段からのリーダーシップを期待されるようになります。
その一方、反射神経は衰え、守備範囲は狭くなります。
体力の衰えから、集中力を維持するのも難しくなってきます。
フットボールの本質として、FWは10回中1度でも成功すれば、英雄です。
一方、GKは10回中1度でも失敗すれば、戦犯です。
致命的なミスは、1度も許されないのです。
ベテランにならなければ、上手くならない一方、致命的なミスは増えていくのです。
大変難しいポジションです。
現在、川島選手は35歳。
コーチング、読み、リーダーシップ。彼は今も、この3点に優れています。
しかし衰えも確かに感じさせました。
ところで、イタリアに、ジャンルイジ・ブッフォンという世界的なGKがいます。
彼は昨シーズンセリエAのベストキーパーだったのですが、今シーズンはすっかり衰えてしまいました。
昨シーズンは39歳、今年は40歳。
努力を惜しまない人だからこそ、ここまでこれたといえる反面、急に衰えが来ることの残酷さも目の当たりにしました。
衰えは急に来るのです。
前述したとおり、控えの東口選手もしくは中村選手が起用されても、不満はありません。
しかし二人合わせて、フル代表で出場したのは7試合。
不安は残ります。
究極的には情報戦なので、大会期間中の各選手の心身の状態など、外側の人には計り知れない機微があります。
選手は起用してもらいたいので、不調を隠す場合もあります。
対戦相手FWの得点パターンなども計算に入れねばなりません。
監督が総合的に考えて、最善の答えを導き出して欲しいです。
とはいえ、第3戦以降、誰が日本のゴールマウスに立っていても、全力で応援したいと思います。
2018 FIFA W杯 Group A サウジアラビア王国 vs エジプト・アラブ共和国 試合後感想
サウジアラビアは、第二戦に続き、酷暑を戦います。
サウジもエジプトも、平均気温の高い国ですが、この時期に国内リーグ戦はやっていないでしょう。
この試合の会場になる、ボルゴグラード・アレーナは、気温35度、湿度24%のとてつもないコンディションです。
ただでさえ、グループ突破の可能性が無くなるとモチベーションを保つのが難しいので、辛い戦いになります。
サウジは、前回良い働きを見せたブライヒが出場しません。
ベテランでいぶし銀の働きを魅せるジャッシム、チーム内得点王のサラハウィの不調もここまでの成績にダイレクトに反映されてしまいました。
一方エジプトは、大会最年長御年45歳のGKエル・ハダリが初出場です。
これまで出場したエル・シェナウィは良いプレーをしていましたし、堅守速攻に適した現代的なGKでもあるので、今後の為に一試合でも多く経験させたいところですが、母国の英雄に花道を飾るために、身を引いた形です。
この試合、ポゼッションとカウンターのチームの対決です。
両チームにとって今大会最後の試合になりますが、四年後に向けて、この試合を無駄にせずに、何かを掴んでほしいです。
~前半開始~
サウジは最終ラインもそこまで高くないのですが、持ち味の短いパスワークを出せています。
ひたすらポゼッションして押し潰す、スペインスタイルです。
相手のカウンター対策でもあります。
また、エジプトの両CBとボランチにあまりプレッシャーを掛けません。
展開力が無いことを見抜いてのことですね。
前半11分、早速ドーサリの初シュートです。
浮いてしまいましたが、今日も積極性は健在です。
初戦はシュートが無かったので、あまり可能性が無くても打つべきです。
前半14分にも、ドーサリのミドルです。
カウンターからのドリブルシュートでした。
難しいプレイですが、枠に飛ばして欲しいですね。
前半17分、サラーのコースといいスピードといい、素晴らしいドリブルがありましたが、エジプトCB人最速のモタズ・ハウサウィの速さ、対人の巧みさが上回りました。
今大会最高速の戦いだったと思います。
迫力がありましたね。
前半21分、エジプトに先制点です。
サラーの技ありシュートでした。
結果論になりますが、GKは出るべきではなかったです。
とはいえ、あんなシュートを決められる人はごく少数のワールドクラスのFWだけなので、ほとんどのGKがそれを体験できません。
この失点をなくすには、欧州主要リーグに参加するしかないと思います。
四年後の課題ですね。
そもそもは、ドーサリのパスミスです。
ボランチの位置からのロングパスは、オタイフに任せるべきだったのでしょう。
32分過ぎのトレゼゲとサラーの30m超のワンツーは、技術の高さを見せましたね。
トレゼゲも今大会枠内に打てたシュートはありませんでしたが、まだ23歳、これから成長してほしいです。
36分、サウジは今大会初めてといってもいい、決定的なチャンスを迎えました。
ファラジのミドルは入りませんでしたが、エジプトのバイタルエリアの隙をついた絶妙な攻撃です。
40分、ファティがまたやってしまいました。
サウジにPKを献上です。
彼はオウンゴールもしてしまっているので、母国に凱旋したとき怖いです。
しかしキッカーのムワラッドが外してしまいました。
サラーの二回目の決定機は、完全にオフサイドでしたね。
前半46分、まさかの二度目のPKです。
これは何なんでしょう?
ムワラッドとガブルが交錯したのですが、どちらが演技したのか分かりません。
スローで見てもよく分かりません。
ムワラッドは自然に倒れていますが、ガブルの方もそこまで強引に倒したり引っ張っているようにも見えません。
そこまで力が掛かる体勢ではないように、見えました。
結果、PKの判定になり、ファラジが決めました。
ついに今大会、サウジは初得点です。
振出しに戻ったところで、前半終了です。
~後半開始~
後半HTワルダが入りました。
それに伴い、サラーがトップ下にポジションチェンジしました。
サイードを下げてしまったので、配球に不安が残ります。
後半9分、バヘブリはきょう三回目のシュートですね。
ドーサリは威力のあるミドルはありますが、枠に飛んだシュートはありません。
それに引き換え、バヘブリはより繊細なシュートが売りです。
あまりペナルティエリアの外から撃たないので、確率が高そうです。
後半16分のファラジとドーサリのワン・ツーは、可能性がありました。
バルセロナみたいな崩しでした。
やはり理想はスペインスタイルなんですね。
後半18分、1トップのモフセンを下げてしまいました。
それに伴い、サラーとワルダのツートップになりました。
後半19分、ここまでいいプレイをしてきたバヘブリを下げてしまいました。
モガハウィ、アシリの連続したヘディングシュートがありました。
交代が当たったかと思いましたが、得点にまでは至りませんでした。
共にエジプトのGK、エル・はダリにふさがれたからです。
自身の価値を、これまでの実績ではなく、きちんと今の実力で示しましたね。
しかしシュート撃たれたのは、エジプト守備陣の足が止まってきたからです。
酷暑がきいてきたのでしょう。
サウジはそうでもないのですが、エジプトは明らかに運動量が減りました。
陣形をコンパクトにすることが出来なくなっています。
後半から入ったワルダだけは元気ですね。
次大会でもエジプト代表のキーマンになれる、好選手です。
後半33分、ムワラッドに代えて、シェフリです。
初戦で活躍した通り、優秀なドリブラーです。
この交代を見て、エジプトはカフラバが入ってきました。
サウジもアタッカーが増えたので、エジプトもアタッカーを増やしてしまいましたが、ますます中盤でボールを持てなくなる可能性もあります。
ゴール前での密度は上がりますが、シュートを打つ回数が激減しそうです。
賭けですね。
後半49分、ドーサリのゴールで勝ち越しました。
サウジのパスワークと、エジプト守備陣の足が止まったことが合わさっての得点でした。
サウジアラビアの勝利です。
~試合終了~
詳細は後述しますが、共にムスリムの多い国なので、ラマダンを行っている選手・スタッフもいたであろうと思われるので、それだけでも大変だったと思います。
加えて酷暑だったにもかかわらず戦い抜いた選手たちには、ただただ脱帽です。
勝敗はついてしまいましたが、素晴らしい試合でした。
アジアの為にも勝ってくれたサウジには感謝したいですし、エジプトもサラーだけではないことを示せたと思います。
サウジの選手たちには、できることならまたラ・リーガ(西)に挑戦してほしいですし、エジプトもサラーの活躍でプレミアリーグ(英)志向が高まっているようなので、楽しみにしたいと思います。