2018 FIFA W杯 Group C デンマーク王国 vs オーストラリア連邦 試合後感想
昨日主審を務めた人が、翌日VARの審判も務めるのですね。
マーク・ガイガーさん、お疲れ様です。
今日は公正な判断で構いません、よろしくお願いします。
デンマークは、初戦でボランチの一角を務めたクヴィストが肋骨を骨折してしまったそうで、代わりにシェ―ネが入ります。
初戦はモノにできましたが、最終戦はこのグループ最大のライバルであるフランス戦になりますので、この試合でも勝ち点を取っておきたいところです。
勝ちたいのはやまやまですが、負けることは許されないので、初戦同様引き分け狙いのガチガチの守備も悪くありません。
ただペルーと違って、オーストラリアにはフィジカルもあります。
ポステコグルー監督に代わってポゼッションをするチームになったとはいえ、デンマークとはフィジカルには差が無いでしょう。
初戦を落としたオーストラリアは、スタメンに変更はありませんでした。
アルザ二もアーバインも、いい動きをしていただけに、少し意外でしたが、それだけスタメンを信頼しているのでしょう。
フランス戦も動きは悪くなかっただけに、この試合結果を求めて生きたいです。
何としてもこの試合と最後のペルー戦に勝たなくてはなりません。
~前半開始~
平均身長ではオーストラリアが負けているのですが、デンマークはセットプレイでも工夫してきました。
デンマークが高さで勝てない戦いは、今後ないかもしれません。
シストとレッキーというドリブラーをお互いに抱えているので、CKの取り合いが勝負のポイントになりそうです。
しかし早々に前半7分、デンマークが先制です。
ディレイニーのインターセプトからヨルゲンセンの巧みな落としがあり、エリクセンの芸術的なボレーでフィニッシュでした。
エリクセンの決定力は、プレーオフのアイルランド戦を思わせますね。
子供が生まれて、気力充実といったところでしょうか。
今日は彼のキックが安定しています。
今大会後に、さらにステップアップするかもしれません。
また、シェ―ネによるムーイ潰しが徹底してます。
何もさせずに勝つつもりなのでしょうが、前半16分にはジェディナクのスルーパスが通りました。
これを皮切りに、前半20分過ぎ、ようやくオーストラリアのゲームメイクが機能し始めました。
ムーイにマンマークがつくなら、彼はいないもととして、割り切ったのが良かったと思います。
両SHがワイドに開いて、ダイナミックに攻めることに成功しています。
前半23分、デンマークにチャンスが訪れます。
ヨルゲンセンがドンピシャのタイミングでヘディングシュートを放ったのですが、枠を捉えませんでした。
互いに、サイドの守備に苦労しています。
前半30分もすぎて、デンマークには積極性が全く感じられなくなりました。
オーストラリアはレッキーのドリブル、ナバウトのキープを中心に、少ないチャンスながらカウンターが機能しているので、可能性があります。
前半36分、ムーイのCKから放たれた、レッキーのヘディングがポウルセンの左手に当たってPKになりました。
ちなみに、コロンビアのカルロス・サンチェス(レッドカード)とポウルセン(イエローカード)との違いは、腕でブロックする意思があったかどうかです。
前者は右腕を引っ込めたり、体の右側面にぴったりつけようとする(ハンドにならないようにする)素振りすらありませんでした。
シュートとゴールを結ぶ直線上に、垂直に右腕を出したのです。
ブロックするため、です。
一方後者は、シュートがヘディングだったので、より放物線を描くものでしたが、それに左腕が引っ掛かったように見えました。
ポウルセンは腕を伸ばしに行ったのではなく、引っ込めにいったので、事故で当たってしまったとみなすべきです。
とはいえ、確実にシュートブロックになったので、PKになります。
前半39分、そのPKを蹴ったジェディナクのゴールで、オーストラリアが追い付きました。
デンマークは、難しくなってしまいました。
プランが崩れたからです。
当初の予定では、最初に猛攻を仕掛けて、先制する。
ムーイ潰しも含めて、ここまでは予定通りでした。
そもそもデンマークは攻撃でも守備でも高さで勝るはずだったので、ボールを渡して引きこもってしまうのは効果的だと思われていました。
最初からこうしてくるかと思いましたが、先制してからになりました。
その高さで、ジャンプ力や気持ちの差もあるのでしょう、局所局所でオーストラリアが勝ってきているので、分からなくなってきました。
前半40分、デンマークにもセットプレイのチャンスがありました。
案の定、エリクセンは低いボールを蹴ってきました。
すぐに対応できるのが、彼のワールドクラスの証明でもあります。
後半開始直後の動きに注目です。
~後半開始~
デンマークは前半と同じ入り方だったように感じました。
特に無策だったので、オーストラリアは助かりました。
このままなら前半20分過ぎと、同じ展開になります。
後半5分、シェ―ネの見事なヒールパスからシストのフィニッシュは、外れてしまいましたが、前半のエリクセンのシュートのリプレイのようでした。
デンマークは足元の技術よりも、間受けに優れた選手が中盤に多いようです。
しかしそれ以外は、オーストラリアペースです。
引き分けか、オーストラリアが決勝点を奪えるかは、最後のフィニッシュの精度にかかっています。
クルーゼもいいクロスを放っているのですが、先読みされています。
後半13分、イエローカードをもらったポウルセンが、ブライトワイトと交代です。
後半23分、ヨルゲンセンに代わってコーネリウス、クルーズに代わってアルザ二が登場です。
ヨルゲンセンもクルーズも、決定力を見せることはできていませんでしたが、攻撃の形の作るのに貢献していました。
コーネリウスは今大会初出場なので、ヨルゲンセンがしていた仕事をしながら、ハッスルしてほしいです。
アルザ二には、得点が求められます。
まだ19歳の彼ですが、フランス戦のパフォーマンスには、今後を期待させるものがありました。
後半25分のムーイのミドルシュートは、オーストラリアの決定力の無さを象徴してましたね。
あとは決めるだけというのが、いかに難しいものかを感じさせました。
後半28分、ナバウトが脱臼なのか、肩の辺りを痛めました。
5月に右肩関節を脱臼しているので、またやってしまったのかもしれません。
かわりに、ユリッチが投入されました。
彼は大会前は先発候補だったので、何かやりたいと思っているはずです。
長身を生かしたヘディングなど、パワープレイでも生きるので、放り込みを増やしたいところです。
後半34分、クロスがレッキーにいきました。
彼も小さくは無いのですが、是非ユリッチに出して欲しかったところです。
後半36分、ナバウトに代えてアーバインの出場です。
彼も、パワープレイが出来ます。
後半43分のアルザ二のプレイは、歯がゆかったです。
こちらもユリッチに出せれば、というところでした。
~試合終了~
全体的に、オーストラリアには勇気が足りなかった、という印象です。
リスクを冒して、人数をかけるべき局面は複数ありました。
チャンスは後半43分のプレイだけではなかったです。
ただケアーの先読みのフォアチェックが素晴らしかったことも、忘れてはいけません。
シュマイケルも当たり前のように、ビッグセーブを連発していました。
攻撃では、3トップ含めFWにチャンスメイクができる人がいないのが、このチームの限界かもしれないです。
デンマークの躍進は、想像できなくなってきました。